2013 Fiscal Year Annual Research Report
白癬の病態形成に対する起因菌分泌型セリンプロテアーゼ多重遺伝子族の機能解析
Project/Area Number |
23590520
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山田 剛 帝京大学, 医真菌研究センター, 准教授 (80424331)
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Keywords | dermatophytes / serine proteases / marker recycling / flippase |
Research Abstract |
申請者らは皮膚糸状菌(白癬菌)のゲノムに含まれる分泌型エンドプロテアーゼファミリーの一つである「ズブチリシン(Sub)型セリンプロテアーゼファミリー」が本菌の表皮角層侵入過程で果たしている役割を体系的に理解すべく研究を進めてきた。 申請者が実験に使用している白癬菌(A. vanbreuseghemii)のSubファミリーは相同性の高い12個のアイソザイムで構成されており、遺伝子が染色体上に多重遺伝子族を形成している。そして、異なるアイソザイムが協調的に作用しながら効率良く機能していることが多い。こうした多重遺伝子族の機能に関する有益な情報を得る上で、複数の遺伝子を欠損させた変異株(多重破壊株)は有用である。そこで初年度(平成23年度)は部位特異的組換え酵素(FLP)ならびに他の白癬菌から単離した誘導型(コンディショナル)プロモーター(Pctr4)を利用して、白癬菌における遺伝子の多重破壊を効率良く進めるためのベクター(pMRV)を構築した。本ベクターを使用して、次年度および最終年度(平成24、25年度)は表皮角層の主成分であるケラチンによって発現が顕著に活性化すると報告されている複数のSub遺伝子を多重に欠損させた多重破壊株を作出した。得られた種々の多重破壊株の培養上精における総エンドプロテアーゼ活性を解析したところ、A. vanbreuseghemiiにおける分泌型エンドプロテアーゼ活性の大半がSubファミリーではなく、金属プロテアーゼ(MEP)ファミリーに由来することが判明した。そこで、Subファミリーのように相同性の高い5個のアイソザイムで構成されるMEPファミリーについて、種々の多重遺伝子破壊株を作出した。得られた多重破壊株の培養上精における総エンドプロテアーゼ活性を解析し、MEP4が分泌型エンドプロテアーゼの中心的役割を果たしていることを見出した。
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