2012 Fiscal Year Research-status Report
宿主細胞のアポトーシスを制御する肺炎クラミジア分子の探索
Project/Area Number |
23590525
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
三浦 公志郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30284243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 文雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40153077)
簗取 いずみ 川崎医科大学, 医学部, 助教 (40454847)
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Keywords | 肺炎クラミジア / アポトーシス |
Research Abstract |
肺炎クラミジアはヒトの呼吸器に感染し感冒様症状や肺炎を引き起こす。また近年では動脈硬化症との関連が明らかとなり、その感染が動脈硬化の危険因子ではないかと考えられている。肺炎クラミジアは真核生物の細胞内でのみ増殖が可能な偏性細胞内寄生性細菌であり、同菌にとって宿主のアポトーシスを制御することはその生存戦略上非常に重要である。しかしクラミジアの宿主アポトーシス制御機構には不明な点が多く、未知のアポトーシス制御因子が存在すると予想される。 本研究ではこれまでに、肺炎クラミジア機能未知遺伝子ライブラリーから酵母のアポトーシスを抑制するクラミジアの遺伝子をスクリーニングし、2つの遺伝子が得られた。 しかしこのスクリーニングの再現性が高くなく、信頼性が低かった。 今年度はまず、これら2つの遺伝子をヒト培養細胞に発現させたが、GFPで標識された遺伝子産物の発現効率が悪く、機能解析に用いることができなかった。次にもうひとつのスクリーニングの方法として、酢酸による酵母のアポトーシス誘導の系を試みた。酢酸添加培地で酵母にアポトーシスを誘導することはできたが、これを用いたクラミジア遺伝子のスクリーニングではアポトーシスを抑制する遺伝子は得られなかった。 クラミジアは感染後期において宿主細胞にアポトーシスを誘導すると言われる。そこで、我々がエフェクター遺伝子候補として既に選択した62遺伝子のうち、ひとつを選んで機能解析を行った。この遺伝子をヒト培養細胞に発現させると細胞膜に局在し、その細胞にスタウロスポリンでアポトーシスを誘導すると、アポトーシスになりやすいことが分かった。今後さらにこの遺伝子の機能解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Bax遺伝子を使った最初のスクリーニングの結果、肺炎クラミジアの2つの遺伝子が得られた。スクリーニングを繰り返したところ、再現性があまり高くないことがわかった。そこでこれらの遺伝子を培養細胞に発現させて機能解析することを試みたが、十分な発現が得られず断念した。 もう一つのスクリーニング法として酢酸を用いた方法を試みたが、アポトーシスを抑制する肺炎クラミジアの遺伝子は得られなかった。そこで、アポトーシスを誘導する遺伝子の同定にとりかかった。 以上のようにアポトーシス抑制因子の同定で期待された結果が得られなかったために予定を達成することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにアポトーシスを促進する肺炎クラミジアの遺伝子を一つ同定できた。今後は他のアポトーシス促進遺伝子の同定を行うと同時に、それらの機能解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に試薬等の消耗品と研究成果発表のための旅費に使用する予定である。
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