2013 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞のアポトーシスを制御する肺炎クラミジア分子の探索
Project/Area Number |
23590525
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
三浦 公志郎 九州女子大学, 家政学部, 教授 (30284243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 文雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40153077)
簗取 いずみ 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40454847)
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Keywords | 肺炎クラミジア / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究の初年度では、酵母のアポトーシスを抑制するクラミジアの遺伝子をスクリーニングし、2つの遺伝子を得た。しかしこのスクリーニングの再現性が高くなく、信頼性が低かった。昨年度は、これら2つの遺伝子をヒト培養細胞に発現させたが、GFPで標識された遺伝子産物の発現効率が悪く、機能解析に用いることができなかった。もうひとつのスクリーニングの方法として、酢酸による酵母のアポトーシス誘導の系を試みたが、これを用いたクラミジア遺伝子のスクリーニングではアポトーシスを抑制する遺伝子は得られなかった。これらの理由で、スクリーニングで得た2つの遺伝子が本当にアポトーシスを抑制できると断言するに十分なデータが得られていない。 クラミジアは感染後期において宿主細胞にアポトーシスを誘導すると言われることから、エフェクター遺伝子候補の62遺伝子のうち、ひとつを選んで機能解析を行った。この遺伝子Fke034をヒト培養細胞に発現させると細胞膜に局在し、その細胞にスタウロスポリンでアポトーシスを誘導すると、アポトーシスになりやすいことが分かった。 Fke034は22 kDaのタンパク質をコードし、そのC末端にはproline-rich repeat (PRD)があった。Fke034-GFPは真核細胞内で細胞膜直下に局在していることがわかった。短縮したFke034蛋白質の局在から、Fke034が細胞膜下に局在するためには蛋白質の中央部の存在が必要かつ十分だった。GST-PRDタンパク質を用いてpull-downを行った結果、PRDに特異的に結合する約60 kDaのタンパク質を得て、これがヒトPACSIN2であると同定した。さらにHEp-2細胞内でFke034-GFPを発現させると、PACSIN2はFke034と一致して膜直下に局在するようになった。これらの結果から、Fke034がPACSIN2を膜直下局在に誘導することで、PACSIN2の機能を調節することが示唆された。
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