2011 Fiscal Year Research-status Report
ウエルシュ菌ι毒素の分子生物学及び細胞生物学的解析による作用機構の解明
Project/Area Number |
23590526
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90170315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (40164462)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ウエルシュ菌イオタ毒素 / エンドサイトーシス / リサイクリングエンドゾーム / リソソーム / 結晶化 |
Research Abstract |
ウエルシュ菌の産生するイオタ毒素は、致死、壊死活性を有し、本菌による高い致死率を示す動物の腸性中毒症の原因毒素と考えられている。我々のグループではこれまでイオタ毒素の構造と機能について検討を行ってきた。本年度は、細胞への侵入経路であるエンドサイトーシスの過程を解析とIbの大量精製と結晶化を行った。イオタ毒素は、Ibが細胞膜に結合後、これにIaが結合して、エンドサイトーシスにより細胞内に侵入することが知られている。Ibの細胞内侵入経路をエンドサイトーシスのマーカーとの局在で共焦点レーザー顕微鏡を使用して観察した。Ibは免疫蛍光染色法により検出すると15分までは、Ibは初期エンドソームマーカーであるGFP-Rab5との共存が認められた。30分後では、1部は、後期エンドソームであるGFP-Rab7とマージし、残りはリサイクリングエンドソームのマーカーであるGFP-Rab11と共存した。30分以降では、IbはLysosome-GFPとの局在が認められた。すなわち、初期エンドソームまで輸送されたIbの一部は、リサイクリングエンドゾームを介して細胞表面に輸送され、再び、Iaと結合して細胞内に侵入すること、その後、Ibは、リソソームまで輸送され、分解されることが明らかとなった。 次に、Ibの大量発現と精製を行った。Ibは、ウエルシュ菌からは微量しか産生されず、大量に得ることが困難であった。我々は、Ib遺伝子を使用して大腸菌でGST-fusionベクターを用いて、精製したところ、比較的大量に得られることが可能となった。そこで、Ibの大腸菌の組換え体の培養と精製を繰返し、Ibを大量に精製した。得られたIbは、結晶化のスクリーニングキットを使用して、ハンギングドロップ蒸気拡散法により結晶化の作製を行った。結晶が得られたら、X線回析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、イオタ毒素の細胞内輸送ルートの解明を第一目標に行って来たが、本毒素が、細胞内に侵入後、初期エンドソームに輸送され、その後、リサイクリングエンドゾームと後期エンドソームまで輸送される。
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Strategy for Future Research Activity |
イオタ毒素が細胞に作用する時にどのようなシグナル伝達系が活性化されているのかを明らかにする。毒素の受容体となる候補の検索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イオタ毒素の作用機構を細胞生物学的な手法で検討するため、試薬や器具などの消耗品に多くを使用する。成果発表のため、学会発表での出張費を使用する。
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Research Products
(4 results)