2011 Fiscal Year Research-status Report
桿菌の形態形成に関わる細胞骨格蛋白RodZと赤痢菌病原遺伝子発現の解析
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23590531
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
三戸部 治郎 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (40333364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 格 地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 研究所免疫部門, 部長 (60314415)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 病原性 / 細胞骨格 / 転写後制御 |
Research Abstract |
赤痢菌の主要な病原因子であるType III分泌装置の発現を指標に申請者が同定したRodZ蛋白は、近年提唱されている新しい機能蛋白の"細菌の細胞骨格蛋白"(bacterial cytoskeleton)として細菌の形態形成に作用することが報告されている。RodZは膜蛋白として細胞質とペリプラズムに局在し、細胞質側でアクチン様に重合する別の細胞骨格蛋白MreBと相互作用することで菌の桿状構造を形成するものと考えられている。 申請以降、研究計画に基づいてRodZの細胞骨格以外の機能の解析を進めた。その結果、(1)rodZが欠損した赤痢菌ではType III分泌装置のレギュレーターinvEのmRNAが安定になっていること。(2)精製したRodZ蛋白はこれまで知られていないRNA結合活性を持ち、invEの配列を持つRNAに結合すること。(3)RNA結合能は膜貫通領域近くの塩基性アミノ酸群にあること。(4)これらを分子内で欠損させることで、形態を変化させずにInvEの発現を変化させることができること。(5)蛋白-RNAのクロスリンクでRodZがinvE-mRNAと結合していることを報告した。 また、精製の過程でRodZ蛋白は多量体を構成することが分かりその解析を進めた。ゲル濾過分析及び超遠心分析を行ったところRodZは約6量体の分子量をもつ多量体を構成することが分かった。さらに研究分担者が行った電子顕微鏡による観察では野生型のRodZの多量体は30ナノメートル程度のサイズの粒子を形成すること、高濃度では疎水性の膜貫通ドメインを介してさらに大きな構造体を取りうることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RodZの赤痢菌の病原性への関与について論文にまとめることができた。また、RodZが多量体を形成することが分かった。機能解析についても予定していた実験を行い、データを蓄積中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり進める。データの蓄積は多量体形成のものが多いため、こちらを優先してまとめる予定であるが、機能解析のデータ量によっては、双方まとめた形で論文にする可能性もある。RodZの関与している赤痢菌の病原性発現機構については、新しい因子が関与する証拠が得られており、こちらも進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電源装置の購入を前倒ししたため不足分が生じた。次年度以降で調整する予定。
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Research Products
(2 results)