2013 Fiscal Year Annual Research Report
桿菌の形態形成に関わる細胞骨格蛋白RodZと赤痢菌病原遺伝子発現の解析
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23590531
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
三戸部 治郎 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (40333364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 格 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (60314415)
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Keywords | バクテリア細胞骨格 / mRNA局在 / RNA結合蛋白 / 転写後調節 / III型分泌装置 / 病原性 |
Research Abstract |
赤痢菌の主要な病原因子であるIII型分泌装置(TTSS)の発現に作用する因子として、近年提唱されている、桿菌の形態形成に作用する“バクテリア細胞骨格蛋白”(bacterial cytoskeleton)のRodZを見出した。RodZは膜蛋白でアクチン様に重合する別の細胞骨格蛋白であるMreBと結合し桿状構造を形成すると考えられている。 研究計画に基づいてRodZの細胞骨格以外の機能の解析を進めた結果、①rodZ遺伝子を欠損した赤痢菌では転写後レベルで制御されるTTSSのレギュレーターInvE(virB)のmRNAの安定性が増加していること。②ホスホセルロースカラムとヒスチジンタグを用いて高度に精製したRodZ蛋白は、RNA結合活性を持ちinvE遺伝子の配列を持つRNAに強く(Kd=3.5nM)結合すること。③RNA結合能は膜貫通領域近くの塩基性アミノ酸群にあること。④これらを分子内で欠損させることで、形態を変化させずにInvE蛋白の発現を変化させることができること。⑤蛋白-RNAのクロスリンクでRodZがinvE-mRNAと結合することを明らかにし報告した。 また構造の解析ではRodZ蛋白はジスルフィド結合で6量体を形成し、その基本構造がSuperstructureといえる複雑な複合体を形成することが示された。構造とRNA結合能の相関を調べたところ、6量体単独ではRNA結合能を持たず、Superstructureの形成がRNAの結合に必須であることが分かった。 さらにinvE遺伝子以外のmRNAとの相互作用を調べるため、クロスリンク法で約80個の候補遺伝子を調べたところ、高い確率で mRNAが結合していることが分かった。以上の結果はRodZ蛋白が病原遺伝子のみならず、多数のmRNAを細胞膜の近傍で結合する能力があり、何らかの機能的な意義があると予想される細菌のmRNAの細胞内での局在に必要な因子として作用していることを示唆している。
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Research Products
(2 results)