2012 Fiscal Year Research-status Report
ミニゲノム及びリコンビナントウイルスの系を使ったパラミクソウイルス増殖機構の解明
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23590539
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西尾 真智子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70156040)
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Keywords | パラミクソウイルス / リコンビナントウイルス / V蛋白 / ウイルス増殖 / caspase-1 / tetherin |
Research Abstract |
1.THP-1細胞を使い、パラインフルエンザウイルス2型のwt、もしくはV蛋白変異ウイルスを感染させ、上清中のIL-1β量の測定をした。wtは明らかにIL-1β濃度が低く、V蛋白がcaspase-1と結合する事により、活性化が押さえられ、分泌型のIL-1βが減少したものと考えられる。caspase-1の活性化をV蛋白が抑える事により、インフラマゾームの活性化を抑制していると考えられる。ウイルス認識機構の中で既に明らかになっているRIG-I、TLRsの系に続いて未だ解明されていなかったNod-like receptors(NLRs)の系のパラインフルエンザウイルス2型のV蛋白による抑制機構が明らかになった。 2.抗ウイルス因子の1つであるtetherinとVの結合部位を明らかにした。その結合は、V蛋白特異的領域にあるtryptophan-rich-motifとtetherinのC末領域であるGPIアンカー領域で起こっていた。tetherinのGPIアンカー領域はHIV-1などで抗ウイルス機能に重要な領域であると明らかになっているが、この領域で他の蛋白と結合しているウイルス蛋白の報告はない。したがって、あらたなメカニズムによるtetherinの機能抑制の可能性がある。内在性のtetherinに対する抗体を手に入れたので、V蛋白を構成的に発現しているHeLa細胞株で、tetherinの減少を確認したが、起きていなかった。tetherin強発現細胞株、薬剤誘導性knock down細胞株を作成中である。 3.Yeast two-hybridにより明らかになった宿主蛋白の1つをknock downした細胞で、パラインフルンザウイルス2型の増殖が亢進される事が解った。この蛋白とV蛋白の結合により、どのようなメカニズムで亢進されるのかは、現時点で不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年9月に三重大学より和歌山県立医科大学に所属機関を移動した事により、遺伝子組換え関連の許可を新たに取得し、研究に必要な器具、装置、備品等を揃える必要があった。ようやく全てが揃い、研究を開始したが、使用するウイルスを新たに準備する必要があり、使用するモノクローナル抗体の準備も必要であったため、未だ計画からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
主に進めている宿主蛋白のcaspase-1とウイルスV蛋白との結合部位等の解析、ウイルス感染した細胞上清中のサイトカインの濃度測定等はほぼ終わった。論文を作製するため、必要なその他のデータを揃え、結果を発表する予定である。次に進めているtetherinについては、V蛋白とtetherinの結合によりウイルス増殖のどの過程が抑制されているのかを詳細に検討する。さらに、Yeast two-hybridの系で見つかったV蛋白と結合する宿主蛋白の幾つかを同時に検討しているが、宿主蛋白をknock downした細胞で明らかにウイルス増殖が亢進したものがあるので、今後この蛋白を中心に進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を行っているnegative strand RNAウイルスの国際学会が開催されるので、その学会に参加し成果を発表し、新たな情報収集を行ないたい。また、国内の学会にも参加の予定である。 その他は、主には研究に必要な試薬に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)