2012 Fiscal Year Research-status Report
新規抗ウイルス剤開発を目指したHPV過形成誘導機構の解明
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23590540
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (80281731)
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Keywords | HPV / 子宮頸癌 / ウイルス発がん |
Research Abstract |
本年度は、HPVの複製モデルを利用して各種サイトカインや、新規合成化合物の抗ウイルス効果を確認した。 HPVの複製モデルとしては、ヒト角化細胞(keratinocyte)を用い、それにHPVゲノム型DNAをエピゾーム状に安定導入する系を利用した。この細胞を、未分化状態の単層培養、カルシウム分化誘導、メチルセルロース懸濁培養法、さらに「皮膚モデル培養系」に適用し、各分化段階でのHPVゲノムの複製効率を定量した。更に「皮膚モデル培養系」では、表皮過形成誘導についても検討を加えた。 その結果、1型インターフェロンによってHPV複製の抑制、及び抗腫瘍効果が確認された。また、キナーゼ阻害剤のひとつ(compound #2)において、同様の効果が確認された。しかし、この化合物に関しては、単独で若干ではあるが、角化細胞分化抑制効果が認められたので、HPV特異的な作用かどうかに関しては検討が必要である。 HPVの制御遺伝子の機能に関して、E7が分化依存的なウイルスゲノムの複製にかかわることが示された。この結果は、E7が腫瘍形成に対する分子標的になり得ることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗ウイルス剤の評価系が着実に構築されている。HPVは人を感染標的として特異的に持つため、その病原性や複製を、他の動物モデルでは検証し得ない部分がある。その点で「皮膚モデル培養系」が効果的にウイルス複製モデルとして利用できる点は、この研究の進展に多いに寄与している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、更に検証する化合物、サイトカインなどの対象を増やして、より効果的な抗HPV化合物の同定をすすめる。またその作用機序についても解析を加えることで、抗HPV剤のデザインを可能にする。 HPV遺伝子機能に関しても、更に詳細な解析を行い、新規の分子標的を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、主に細胞培養や各種検出実験における消耗品購入に充てる予定である。 また成果発表のための出版費や、学会等での発表への旅費にも充てる。 研究の効率化のため、実験補助員の人件費としても使用予定である。
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Research Products
(3 results)