2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗ウイルス剤開発を目指したHPV過形成誘導機構の解明
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23590540
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (80281731)
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Keywords | HPV / パピローマウイルス / 腫瘍形成 / 抗ウイルス剤 |
Research Abstract |
本研究では、HPVの複製および過形成誘導機構の解明を通して、抗ウイルス剤の分子標的を探ることを目的とした。HPV感染は子宮頸癌や頭頸部癌発症の重要なリスクファクターであり、感染予防・治療法の開発が望まれている。しかし、HPVの感染・複製は感染標的である上皮細胞の組織形成プログラムに強く依存しており、通常の組織培養法では解析が困難であった。 ここでは初代培養ヒト角化細胞を利用し、細胞分化誘導が可能な系においてHPV複製を観察し、更に「皮膚モデル培養系」を応用することで、HPV複製環及び過形成誘導を再現できる実験系を構築した。 HPVの各制御遺伝子に点変異を入れ、その機能を解析する"reverse genetics"により、E6遺伝子産物がHPVゲノムの複製効率に非常に重要であることが示された。過形成誘導にはE7の機能が関与することはすでに報告しているが、E7はHPVの後期複製や粒子酸性にも重要であることが分かった。 またE4遺伝子産物はアグリソーム様凝集塊を形成することで、HPV複製環の前期-後期切り替えに関与している可能性を示した。 これらの知見から、E6及びE7が抗ウイルス・抗腫瘍形成の標的として有望であることが示された。今後はその分子標的を更に絞り込むことで、抗ウイルス剤として機能する化合物のデザインをすすめたい。
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