2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23590542
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒須 剛 大阪大学, 微生物病研究所, 招へい教員 (70432432)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | デングウイルス / 新興・再興感染症 / ウイルス / 感染症 / 動物モデル / 出血熱 / 熱帯感染症 / 血漿漏出 |
Outline of Annual Research Achievements |
デングウイルスの重症化には宿主因子が直接に関わると予想されているため、病原機序の解明は動物モデルなしには実現しない。重症化に顕著な症状は血小板減少症と血漿漏出である。またデングウイルス感染症に特徴的なのは、4つあるウイルス血清型のうち、2回目に1回目とは違う型のウイルスに感染すると重症化しやすいという現象である。これは中和能のない抗デングウイルス抗体が産生され、それにより2回目に標的細胞が感染しやすくためではないかと考えられている(ADE現象)。 申請者は現在までにノックアウトマウスと数種類のウイルスを用いた主に2つに分類される致死的感染モデルの作成に成功した。1)デングウイルスと日本脳炎ウイルスのキメラウイルスとノックアウト(KO)マウスとを組み合わせた系。2)また数々の臨床株を試験した中から非常に激しく血漿漏出するモデル系の作成に成功した。最近の臨床分離株では初めての報告になる。1)の系では、血漿漏出に加え、末梢血での血小板減少症、骨髄での巨核球と赤芽球島の消失が観察された。またこの系では、適量の抗デングウイルス抗体をマウスに導入することにより、ADE現象が観察された。ADE条件では、肝臓でのウイルス産生が上昇していた。2)の系では、重篤な下痢症と肝臓での激しい血漿漏出を伴った。1)と2)共に共通して観察されたのは、重篤化した末期には腫瘍壊死因子(TNF-α)が上昇していたことと、抗TNF-α中和抗体の投与により症状が軽減されたことであり、TNF-αが重症化の重要な因子であることは明らかである。ヒト患者での類似の現象が観察されることから、ヒトでの疾患を模するモデル系が作成されたと考えられる。 今後、TNF-α産生を誘導する機序、TNF-α産生がどのように血漿漏出へと導くか詳細な機序を明らかにしてゆく。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] A highly conserved region between amino acids 221 and 266 of dengue virus non-structural protein 1 is a major epitope region in infected patients.2014
Author(s)
Omokoko MD, Pambudi S, Phanthanawiboon S, Masrinoul P, Setthapramote C, Sasaki T, Kuhara M, Ramasoota P, Yamashita A, Hirai I, Ikuta K, Kurosu T.
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Journal Title
Am J Trop Med Hyg.
Volume: 91
Pages: 146-155
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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