2012 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス感染に対する生体防御機構およびアポトーシス誘導機構の解明
Project/Area Number |
23590559
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 忠昭 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任教授 (60272431)
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Keywords | インフルエンザ / アポトーシス / ウイルス / インターフェロン / Fas |
Research Abstract |
我々は、これまでに、マウスに対して致死性のインフルエンザAウイルスを感染させると、肺胞上皮細胞に著しくアポトーシスが誘導されること、また、アポトーシス誘導シグナルにDAP3(Nat.Immunol.2001,JBC 2004,FASEB J.2007)が重要であることを明らかにした。 さらに、ウイルス感染後のインターフェロン誘導に重要なIPS-1 にDAP3が会合し、アポトーシス誘導に重要であることを示した(Cell Death and Differ.2009)。その後、インフルエンザウイルスのポリメラーゼPB2がIPS-1に会合しインターフェロン産生経路を特異的に阻害することを発見した(JBC 2010)。 最近、ウイルスのPB2に会合する宿主因子としてSIVA1を同定し、ウイルス感染後のアポトーシス誘導に重要であることを明らかにした(JGV 2011)。また、RIG-Iに会合しインターフェロン誘導に関わる新規分子ZAPSを同定し、ウイルス増殖抑制に重要であることを明らかにした(Nat.Immunol.2011)。 今回、我々は、インフルエンザウイルス感染後、肺細胞にアポトーシスを誘導するFasL分子が著しく誘導されることを見出した。また、FasL変異マウスでは、ウイルス感染後の生存率が上昇することを明らかにし、これらの分子が病態形成に関与していることを示した。加えて、Fas/FasLシグナルの阻害剤の投与はウイルス感染後の病態の重篤化を抑制し、マウス生存率を上昇させた。また、ウイルス感染により産生されるタイプIインターフェロンが肺中の細胞のFasL発現誘導に重要であり、インターフェロンの産生調節とFasシグナルの阻害が効果的なインフルエンザ治療を可能とすることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに、マウスにインフルエンザウイルスを感染させ、肺細胞で発現が誘導される遺伝子を探索した結果、TNFaを含むいくつかのアポトーシス誘導関連分子の発現が上昇し、これらの遺伝子発現がウイルス感染後の病態形成および症状の重篤化に重要であることを明らかにした。TNFRを含むデスレセプターのシグナルを阻害するとウイルス感染後のマウス生存率を上昇させることも示した(特許出願済み)。また、これまでにTNFaによるアポトーシス誘導には細胞内シグナル分子DAP3が重要な働きをすることが示されているが、DAP3はTNFRには会合せず、現在のところ、TNFRに会合してシグナルを伝達する分子はTRADD以外報告されていない。 今回、我々は、インフルエンザウイルス感染後、肺細胞にアポトーシスを誘導するFasL分子が著しく誘導されることを見出した。また、FasL変異マウスでは、ウイルス感染後の生存率が上昇することを明らかにし、これらの分子が病態形成に関与していることを示した。加えて、Fas/FasLシグナルの阻害剤の投与はウイルス感染後の病態の重篤化を抑制し、マウス生存率を上昇させた。また、ウイルス感染により産生されるタイプIインターフェロンが肺中の細胞のFasL発現誘導に重要であり、インターフェロンの産生調節とFasシグナルの阻害が効果的なインフルエンザ治療を可能とすることが期待される。今後、抗ウイルス薬に加えて、本研究成果で得られたようにインターフェロン、Fas、TNFシグナルを制御する薬剤を開発することにより、感染症治療に大きく貢献できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で補助事業を辞退するため記入しない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] A small scale study on the effects of oral administration of the β-glucan produced by Aureobasidium pullulans on milk quality and cytokine expressions of Holstein cows, and on bacterial flora in the intestines of Japanese black calves.2012
Author(s)
Uchiyama H, Iwai A, Asada Y, Muramatsu D, Aoki S, Kawata K, Kusano K, Nagashima K, Yasokawa D, Okabe M, Miyazaki T.
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Journal Title
BMC Res. Notes.
Volume: 5
Pages: 189
DOI
Peer Reviewed
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[Book] 北海道医学誌2013
Author(s)
藤倉大輔 伊藤誠敏 千葉聖子 上出利光 宮崎忠昭
Total Pages
1(102)
Publisher
株式会社響文社
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