2011 Fiscal Year Research-status Report
高次クロマチンネットワークによるT細胞分化の調節機構の解明
Project/Area Number |
23590562
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
関亦 正幸 山形大学, 医学部, 教務補佐員 (80250190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関亦 明子 山形大学, 医学部, 准教授 (50321823)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / エピジェネティクス / 高次クロマチン構造 / 細胞分化 / 遺伝子発現 / 転写制御 |
Research Abstract |
Th1細胞の分化決定には、Th1細胞特異的に産生されるIFN-gの転写制御が重要な役割を果たしている。これまでの解析から、この転写制御にDNAループを介したIFN-g遺伝子座の高次クロマチン構造が決定的役割を果たしていることを明らかにした。本研究ではこの知見をさらに発展させ、高次クロマチン構造間で形成されるクロマチンネットワークに着目し、その実体解明とTh1細胞分化決定における役割の解明を目指す。23年度は、ネットワーク形成に関与すると思われるゲノム上のTh1細胞分化特異的なシス調節領域の同定を、DNaseI超感受性部位(DHS)決定法を用いて進めた。現在、決定した領域のIFN-g遺伝子の転写制御における機能解析を進めている。さらに、これらの領域間で形成されると思われるクロマチンネットワークをCircular Chromatin Conformation Capture(4C)測定法を用いて解析を進めるための実験法の確立を進めている。 さらに、これまでに申請者が決定したIFN-g遺伝子座の高次クロマチン構造のTh1細胞分化における機能を個体レベルで解析する目的で、一部のシス調節領域(CTCF因子結合インスレーター)を欠損させたノックアウトマウスの作製も進めている。その第一歩として、23年度はノックアウトマウスの作製のためのターゲティングベクターを作製した。24年度以降、このターゲティングベクターを用いてES細胞の遺伝子領域ターゲティングを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を開始する段階で、本研究計画は山形大学のDNA組換え実験計画と実験動物計画書の承認を得ておらず、計画書の申請と承認および実験場所のセットアップに時間を取られてしまった。そのため、23年度の実験計画の開始が遅れ、当初予定していた計画の達成度が低くなってしまった。年度の後半に入り実験に集中することができて実験計画を進めることができたが、ノックアウトマウスの作製のためのターゲティングベクター作りにも手間取ってしまった。今回は、大腸菌での相同性組換え法を利用した新規のターゲティングベクター作製法(BAC recombineering法)をアメリカから導入し立ち上げたこともあって、開始当初にトラブルが続出したことが手間取ってしまった理由である。BAC recombineering法の確立に成功したので、今後の作製には有利に働くと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、Th1細胞分化特異的な高次クロマチン構造の織りなすネットワーク構造を決定し、その分化決定における機能の解明を進める。まず、現在までにほぼ決定しているシス調節領域のうち、Th1細胞分化特異的に作動する領域を決定し、IFN-gの転写制御における役割を、すなわちエンハンサーか、サイレンサーか、インスレーターか、ローカス調節領域として働くかをレポーターアッセイを用いて決定する。さらに現在確立を目指しているCircular Chromatin Conformation Capture(4C)測定法を用いて、同定したシス調節領域が形成するクロマチンネットワーク構造を決定しTh1細胞分化における役割の解明を進める予定である。さらに、現在進めているノックアウトマウス作製を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究費は、Circular Chromatin Conformation Capture(4C)法によるクロマチンネットワーク構造の決定のための実験に使用予定である。さらに、ターゲティングベクターによるES細胞の相同組換え実験にも使用予定である。
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