2013 Fiscal Year Annual Research Report
胚中心での新規なシグナル分子群発現調節によるB細胞選択の解析
Project/Area Number |
23590568
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
疋田 正喜 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60228715)
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Keywords | 胚中心 / B細胞 / 分化 / シグナル |
Research Abstract |
これまでT細胞でのみ発現していると考えられていたCD3eが胚中心B細胞のサブセットにおいて発現していることを明らかにした。当該細胞集団を詳細に検討したところ、激しく増殖している細胞集団が特徴的にCD3eを発現していることが明らかとなった。しかし、この細胞集団が脾臓B細胞に占める割合は極めて低く、詳細な生化学的な解析は困難であることがわかった。そこで、これらの細胞で発現しているCD3eの生理学的な役割を明らかにするために、胚中心B細胞のモデル細胞として広く使われているRamos細胞からCD3eを発現しているサブラインを樹立することを試みた。その結果、元々のRamos細胞では極めて低レベルの発現しか認められないCD3eが、mRNAレベルのみならず、FACSでも検出可能なサブラインCD3+Ramos細胞を樹立することに成功した。 CD3+Ramos細胞と野生型のRamos細胞との比較により、B細胞が発現するCD3eの役割について種々の解析を行ったところ、CD3eがこれらの細胞のアポトーシスを促進していることを示唆する結果が得られた。また、この現象がT細胞受容体のシグナル伝達において重要な役割を果たしていることが広く知られているlckを介するシグナルに依存していることも明らかとなった。加えて、当該細胞株においては、抗原受容体の細胞膜上の発現に必須であることが知られているCD79bの発現が著しく低下していることも明らかとなった。 これらの結果は、胚中心B細胞の分化・成熟に従来は予想されていなかった分子群が関与していることを強く示唆しており重要な成果であると考えられる。
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