2012 Fiscal Year Research-status Report
BCRとBAFF-RからのB細胞生存シグナルによる成熟B細胞分化決定機構の解明
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23590575
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 義輝 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323004)
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Keywords | NF-kB / B細胞 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
成熟B細胞の生存はBAFF-RとBCRという2種類の受容体からNF-κB経路とPI3キナーゼ経路という異なった2種類の経路によって制御されている。しかしこれらの経路は、B2, B1, MZ B細胞という3種類存在する成熟B細胞への分化の方向決定にも重要な役割を担っている。本研究課題ではBCRとBAFF-Rからの生存シグナルの成熟B細胞の分化決定における役割を解析することを目的としている。NF-κB経路は古典的もしくは非古典的活性化経路によって活性化される。BAFF-Rの下流においては非古典的経路が重要な機能を持っている。古典的NF-κB活性化経路も成熟B細胞の発生・生存に重要な役割を担っていることが報告されているが、この二つの経路の関係については不明な点が多い。そこで、この二つのNF-κB活性化経路の成熟B細胞の発生・生存における関係について解析をした。非古典的経路では、主にp52/RelBからなるヘテロダイマーが活性化される。p52はその前駆体p100のプロセシングによって生成される。p100が古典的NF-κB経路の標的遺伝子であることが報告されていたことから、B細胞特異的にp100を発現するトランスジェニックマウスを作製し、B細胞特異的にNEMOを欠損させることでB細胞特異的に古典的NF-κB経路を欠失させたマウスと交配を行いB細胞の発生・生存に与える影響について検討した。B細胞特異的にNEMOを欠損させたマウスではすべての成熟B細胞の数が減少しているが、p100を発現させることによってB2、 MZ B細胞の数が野生型マウスとほぼ同程度まで回復されるがB1細胞数は回復しないことが明らかとなった。同様の結果はp52の発現によっても得られたことから、古典的経路は非古典的経路の活性量を調節することでB2、MZ B細胞の発生・生存を制御していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題 ではBCRとBAFF-Rからの生存シグナルの成熟B細胞の分化決定における役割の解明を目的としているが、平成24年度においては、古典的NF-κB経路が、成熟B細胞のうち B2細胞、MZ B細胞の発生・生存をp100の発現量を維持することによってBAFF-R下流の非古典的経路NF-κB経路の活性量をコントロールすることで制御していることを明らかにした。このように昨年度に引き続き成熟B細胞の分化方向の決定に重要な機構を明らかにしたことから研究をおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにBCRからの生存シグナルとして機能するPI3キナーゼ経路の分子の中でAktがB1細胞の分化に重要であること、古典的NF-κB経路が、成熟B細胞のうち B2細胞、MZ B細胞の発生・生存をp100の発現量を維持することによってBAFF-R下流の非古典的経路NF-κB経路の活性量をコントロールすることで制御していることを明らかにしている。平成25年度においてはMZ B細胞の発生に重要なPI3キナーゼ下流の分子の同定を試みる。さらにMZ B細胞の発生にはBAFFRからのシグナルも重要であり、非古典的NF-κB経路がその機能を担っていることが知られている。そこでMZ B細胞の発生に重要な機能を持つ非古典的NF-κB経路の標的遺伝子の同定を行う。方法としてはすでに作製済みであるB細胞特異的なp52NF-κB2トランスジェニックマウス(B-p52NF-κB2 Tgマウス)からMZ B細胞を精製後、抗p52抗体を用いてChIP on Chipを行いMZ B細胞においてp52NF-κB2が結合する染色体領域を同定する。また、野生型マウス及びB-p52NF-κB2 Tgマウス由来のMZ B細胞からRNAを調整後DNA arrayによってその発現を比較することでp52NF-κB2 の発現によって変化の見られる遺伝子を検索する。ChIP on Chipで結合が認められ、DNA arrayにおいて発現に差が見られた遺伝子をMZ B細胞におけるp52NF-κB2 の直接の標的と考え、その機能を解析することでMZ B細胞の発生に重要な機能を持つ非古典的NF-κB経路の標的遺伝子の同定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、研究室にすでに存在していた試薬等を使用すること等の工夫により1,564,864円を次年度以降に繰り越すことが出来た。平成25年度に請求する1,200,000円と合わせた合計は2,764,864円となるが以下のような使用計画を立てている。物品費:2,300,864円、旅費:57,000円、その他407,000円
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Research Products
(1 results)