2012 Fiscal Year Research-status Report
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23590580
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮田 靖志 北海道大学, 大学病院, 准教授 (50325875)
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Keywords | 利益相反 / 医学教育 / 製薬企業 / 医学生 / 研修医 / 臨床研修 |
Research Abstract |
①医学生の製薬企業との関係行動に関する全国調査が完了した。全体で5431名から回答が得られ、内訳は4年生1755名、5年生2222名、6年生1454名であった。文房具授受、製品説明パンフレット授受、製品説明会への出席、弁当飲食は、実習前20-37%、実習後95%以上の医学生が経験していた。懇親会への出席、タクシーチケットの授受は、実習前約10%、実習後約60%が経験しており、食事会・宴席への出席は、実習前約8%、実習後約40%が経験していた。これらの頻度は臨床実習参加後に有意に増加していた。この結果は、医学教育2013, 44(1): 13-19に掲載され、医学教育における利益相反の問題を考える大きな契機となっている。②研修医教育に対する製薬企業からの支援:初期臨床研修プログラム責任者を対象とした全国調査研究が完了した。初期臨床研修プログラム責任者445名を対象とし、回収率76%が得られた。回答者の51%が企業からの支援は教育に必要であると考えており、28%が企業からの支援が処方行動に良くない影響を与える可能性について否定的であった。企業との関係についてのカリキュラムを有しているプログラムは12%であり、医薬情報担当者(MR)との面会を禁止しているのは10%、贈答を禁止しているのは30%であった。51%が、研修医のための製薬企業が支援する院内教育イベントが存在するとし、73%が、研修医が参加可能な製薬企業が支援する院内教育イベントが存在するとした。この結果は、現在、医学教育に投稿中であり、研修医教育における利益相反の問題を考える契機となることは間違いない。③医師の医薬情報提供者(MR)との関わり方に関する質的研究を実施中である。現在までに、全国の医学教育者7名にインタビュー調査を行っており、今後、テキストデータを分析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度に予定していた全国の大学医学部へのアンケート調査、全国の臨床宇研修病院へのアンケート調査は完了し、その結果は論文化されており、100%の達成状況である。3つめの研究課題のインタビュー調査もほぼ予定どおり修了しており、データ分析を待つのみとなっている。すべての予定が順調に消化されている。また、研究結果に基づく医学教育のシンポジウムもH24年12月に実施され、研究結果の公開、および結果の議論が実施されており、本研究を通じての医学教育への問題提起がなされている。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査のテキストデータ分析をH25年7月までに修了し、H25年末までに論文投稿する予定ある。また、H24年度までに実施した2つの研究結果を学会発表および学会でのモーニングセミナーで紹介し、医師・医学生と製薬企業の適切な関係についての議論をさらに高めていくよう計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①インタビュー調査のテキスト化のための業者委託費、本研究の論文化にかかる必要経費、等に研究費が主に使用される。 ②また、インタビュー・データが不足した場合の追加調査費用も予定している。 ③実施された3つの研究の学会発表のための諸経費を予定している。
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Research Products
(4 results)