2011 Fiscal Year Research-status Report
病院環境における薬剤耐性菌制御のリスクマネジメントに関する研究
Project/Area Number |
23590581
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國島 広之 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60339843)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 浩一 東北大学, 大学病院, 講師 (10518400)
八田 益充 東北大学, 大学病院, 助教 (80528258)
青柳 哲史 東北大学, 大学病院, 助教 (50581609)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 感染制御学 |
Research Abstract |
現在、我が国では病院を始めとする医療施設において様々な感染対策を行っているものの、多くの薬剤耐性菌の検出事例が多く報告されている。医療環境において、良く触れる部位(High touch surface)および空調設備は、医療従事者の手指衛生や標準予防策の低い遵守率と併せて、感染対策上のリスクとなることが近年再認識されている。本研究では大学病院および地域の病院におけるHospital floraとしての薬剤耐性菌の状況、施設の解析疫学に基づく感染症・感染対策のリスクアセスメント、空調設備、ヒト・モノの動きの制御による病院環境(Hospital flora)におけるファシリティーマネージメントを含めたリスクマネジメントとそのアウトカムについて評価を実施する。 平日日勤帯にエアーサンプラーMAS-100(MERCK)を置き、ISO20202に基づき、10分間で1000リットルの空気の採集を行った。採取部位は、ナースステーション中央部の作業台の上のほか、病院各環境でおこなった。9箇所で実施したエアーサンプラー培養法よりすべての採取場所で菌が検出され、全778 colony(一箇所平均86.4 colony)の菌が分離された。検出菌の内訳は、CNSが264 colony、セレウス菌 17 colony、黄色ブドウ球菌 6 colony、腸球菌 4 colony、アシネトバクター 4 colony、アスペルギルス 4 colonyであった。今回検出されたブドウ球菌群の中には、薬剤耐性菌であるMRSAやMRCNSも同定された。病棟のナースステーション内の空気環境中から、様々な微生物が検出された。一般的に空気の清浄度は伝播経路としては主要でないものの、実際にはナースステーション内での薬液調製などや、小手術、血管カテーテルの取り扱い時の留意について可能性があると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、病院)のICU・CCU、手術室、中央材料部、検査部、一般病棟、外来などの病院環境を対象とし、研究期間内に30箇所以上として検討を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
・ 施設調査で得られた検出状況の特徴をふまえた解析疫学結果および、薬剤耐性菌のPFGEおよび遺伝子型別検査結果をもとに、医療施設におけるHospital floraリスクを明らかにする。・ 得られたリスクアセスメントは環境整備の不徹底のみといった単一の要因ではなく、構造設備、清掃の実態を含めた空調管理状況、医療従事者の業務(ヒト・モノの流れ)プロセス評価など複数の対策によるBundle approachの手法を用いた介入試験を行う。・ 介入時期および介入後の評価は、共に半年以上の長期間の評価を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度と同様のHospital floraを再度行い、MRSAおよびMRSE、アシネトバクター、カンジダ属菌、アスペルギルスなどの検出状況および臨床分離株との比較検討を行い、Bundle approachの手法を用いたHospital floraに関する薬剤耐性菌制御の効果を疫学的に評価する。
|