2011 Fiscal Year Research-status Report
症例フォローアップを軸にした薬学生・薬剤師・教員統合型実務教育システムの構築
Project/Area Number |
23590582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村井 ユリ子 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70209998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞野 成康 東北大学, 大学病院, 教授 (50323035)
富岡 佳久 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00282062)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 症例提示 / 6年制薬剤師教育 / 薬物療法上の危険予知 / 問題解決力 / practical PBL / チーム医療 / 実務教育 / faculty development |
Research Abstract |
安全・安心な薬物療法の提供のため「持続的に」薬剤師の能力向上を図ることを大きな目的にして研究を開始した。そのために現職の薬剤師と、次世代の薬剤師となる薬学生、その養成に関わる指導薬剤師、大学教員それぞれの問題点を明らかにするとともに、それらの克服のための体制のモデルを構築し、評価系を確立して成果を検証することが目標である。個々の患者への貢献を考え、症例の長期的フォローを軸に、薬物療法上の危険予知力向上を目指した薬剤師実務教育システムを構築することにした。 3年間の研究計画の初年である今年度は、複数施設を結んだWeb症例検討会の実施には至らなかったが、学会参加や文献検索等により倫理的要件なども含め基礎情報収集を行い、薬学実務実習における症例検討会(11週間の実習中、週1回全8回。これを2クール実施)や現職薬剤師による症例検討会(毎週金曜朝8:00-8:30)については、論点を明らかにして実施し、一定の評価をすることができた。 薬学生には、4年生対象に危険予知トレーニングを行い、来年度の病院実習での「安全・安心な薬物療法の提供」への意識付けを行なった。昨年度危険予知トレーニングの導入実習を行なった5年生に対しては、症例フォローアップ実習オリエンテーション用の教材を作成し利用した。また上記の症例検討会の実習を行なった。この病院実習を通じて問題認識力、コミュニケーション力などの学生の自己評価は有意に上昇することが明らかになった。 以上の成果は、日本病院薬剤師会東北ブロック第1回学術大会(『東北大学病院における長期実務実習』シンポジスト)や、日本薬学会第132年会(29P1-pm094『グループ制による継続的症例フォローアップ実習』)などで発表した。 本研究費により症例検討会用に液晶プロジェクターや書画カメラ、消耗品等を購入したほか、情報収集ならびに成果発表のための旅費を支出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Web症例検討会については、当初連携して実施を予定していた複数の医療施設が東日本大震災で被災し、準備が困難になった。Web契約料は高額であるため、ある程度準備を整えたのち、実施が見込める新年度からの契約とすることにした。 それ以外の薬学生の危険予知トレーニングや実務実習における症例フォローアップ実習、現職薬剤師による症例検討会などについては、論点を明らかにして実施し、一定の評価を行なうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Web症例検討会の実施に向けて研究を進める。まず、Web会議システムを複数施設で利用して研修会を実施するための機械的障害や運営上の問題を明らかにするために、個人情報を含まない部内研修会(東北大学病院薬剤部で行なっている新薬説明会などを想定している)を、複数の医療施設の薬剤部を結んで行なう。その結果もふまえて、症例報告の対象となる患者へのインフォームドコンセントやプライバシー・個人情報取扱いなどについて、東北大学大学院医学系研究科の倫理委員会に審査を申請する。当初、Web症例検討会は3施設ほどを結んで実施することを考えているが、問題がなければ、宮城県病院薬剤師会の教育研修特別委員会の委員が在籍する医療施設を中心に希望をつのり、参加施設の拡大を図る。 一方、症例検討会による臨床能力向上について、これまでの研究成果を国際学会で発表する(国際薬学連合FIP 100回記念大会、平成24年10月3-8日、アムステルダム。発表要旨締め切りは同年5月1日)。この学会を通じて各国の状況等に関して情報収集するとともに、発表演題を中心に学会参加者と討論し、問題点やあらたな研究の展開を探る。 また、論文投稿を行なうほか、東北大学大学院薬学研究科ホームページ内の医療薬学教育研究センターのサイトを整備して、研究成果を掲載する。 以上の研究を進めるにあたり、種々の事務作業が生じることが考えられるため、適宜事務アルバイトの依頼を考慮する。すでにアルバイトの依頼先として2名の内諾を得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新年度早々にワークステーションや液晶ディスプレイ、ウェブカメラなどの必要物品を購入するとともに、Web会議システムの契約を結び、初年度ライセンス料を支出する。 ポートフォリオ用ファイルなどの消耗品、参考図書の購入のほか、上記のような研究の推進方策に従って、国際学会への参加・出張旅費、論文投稿料、英文校正費、ホームページ作成料、事務・資料整理のアルバイト料などの使途を考えている。
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