2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590588
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯岡 緒美 東京大学, 医学教育国際協力研究センター, 特任研究員 (80585852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 弘高 東京大学, 医学教育国際協力研究センター, 講師 (90401314)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医療者教育 / 医療者間コミュニケーション / チーム医療 / 疑義照会 |
Research Abstract |
本年は、文献調査、疑義照会の現状ならびに薬剤師へのインタビュー調査を実施・解析した。文献調査は、医薬分業が定着してきた10年前からに遡って調査を実施したところ、疑義照会の現状や改善方法など薬剤師を中心に積極的に研究が行われてきていた。最近では特定の疾患における疑義照会に焦点を当てての解析なども検討されてきていた。次に、疑義照会の現在の状況を把握するため、処方箋に書かれている実際の疑義照会内容調査を調査協力の得られた3調剤薬局1818枚を対象に行った。薬局の選定はなるべく背景が重ならないよう抽出した。調査対象期間は、薬局に備え付けられて直ぐに閲覧が可能な処方箋を対象にサンプリングし、その期間について全数調査を行った。結果は、平均処方箋枚数90.90±55.60枚、1日当たり平均疑義照会回数6.01±4.17回、割合は6.23±2.91%であった。疑義照会内容は、処方箋の形式上の不備24件、薬学的管理57件、患者からの要望17件、その他9件であった。薬学的管理の内訳は、疾患禁忌・重複投与などが31件、併用禁忌・極量オーバーなどが26件であった。さらに、調剤薬局勤務の薬剤師7名を対象に、疑義照会の現状や考え方を調査するフォーカスグループインタビューを実施し、M-GTAを参考に質的分析を行った。対象者の選択は、薬剤師が勤務する薬局の応需科目や平均処方箋枚数などの背景が異なるように抽出した。結果は、薬剤師としてプロ意識を持ち患者を守るという姿勢を持って取り組みたいとしながらも、疑義照会を行うシステムが医療機関により異なるため円滑に進まない、疑義照会をどこまで行ってよいか不安、医師との接遇をこじらせたくない、疑義照会の回数が多いと能力が低いと思われる、薬剤師の仕事への理解をしてもらいたいなど、医師と薬剤師双方への認知不足などの問題点が挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度については、概ね研究実施計画で予定をしていた文献調査と処方箋内容調査の実施ができた。また、インタビュー調査についても薬剤師に対しては実施できた。さらに、当初は平成24年度に予定した処方箋内容調査のデータ分析、インタビュー調査の解析作業を実施することもできた。ただ当初、初年度に予定をしていた医師へのインタビュー調査に着手できていないため、調査結果が得られていない。平成24年度は、研究協力の得られる医師にインタビュー調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初予定していた医師を対象としたインタビュー調査を実施し解析を進めていく予定である。さらに当初計画では予定していなかったが、厚生労働省における「チーム医療の推進に関する検討会」で「医師などと予め作成・合意されたプロトコールに基づき、薬剤師は他の医療職と協働して薬剤の種類、投与量、当方法、投与期間の変更や検査のオーダーを実施する」とチーム医療における薬剤師の更なる参画が言及された。これを踏まえ、疑義照会においても医師と薬剤師がさらに協働できないかを模索する項目を含めた医師、薬剤師双方の疑義照会に対する捉え方、今後の在り方などをアンケート調査やワークショップを通じて検討を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究経費は、研究協力者との打ち合わせ、専門分野における意見を仰ぐ方への謝礼、ならびにインタビュー調査、ワークショップへの協力者の謝礼に充てる。インタビュー調査やワークショップ開催にあたって必要な物品を揃え、また調査実施の際やワークショップ開催のための会場費用に充てる。現在まで得られている調査結果の学会発表、ならびに学会機関誌への投稿費用などに充てる予定である。
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