2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590588
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯岡 緒美 東京大学, 医学教育国際研究センター, 特任研究員 (80585852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 弘高 東京大学, 医学教育国際研究センター, 講師 (90401314)
大生 定義 立教大学, 社会学部, 教授 (70146843)
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Keywords | 医療者教育 / 医療者間コミュニケーション / チーム医療 / 疑義照会 |
Research Abstract |
本年は、医師と薬剤師を対象に疑義照会の現状や今後の疑義照会のあり方に関するアンケート調査ならびに医師へのインタビュー調査を実施・解析した。 医師と薬剤師を対象にしたアンケート調査では、医師55名、薬剤師50名の協力を得た。回答者背景は、医師は男性48名、女性7名、平均年齢42.27±7.85歳だった。薬剤師は男性29名、女性21名、平均年齢39.40±9.70歳だった。医師に疑義照会に対する考えを調査したところ、内容を問わず疑義照会をしてもらいたいは57%、疑義照会の中でも緊急を要する物のみを電話で行い、その他はメールやファックスにしてほしいは39%であった。今後の疑義照会のあり方について、薬剤師の判断でできる内容は疑義照会しないでも良いと回答した割合は44%であった。薬剤師の判断で行ってよいと思われる内容として、交付年月日が過ぎている処方箋の取り扱い、一包化、後発医薬品への変更などが挙げられた。医師にとって疑義照会に積極的に取り組む姿勢を持っているが業務の負担になっていることも示唆された。疑義照会の中には、医師と薬剤師が連携を図ることで事後報告などの形に変更できる内容があることが示唆された。 アンケート調査に協力を得た医師のうち4名(男性3名、女性1名、平均年齢43.75±7.89歳)の協力を得て、疑義照会に対する考え方や今後のあり方に関するフォーカスグループインタビュー形式で調査を実施し、M-GTAを参考に質的分析を行った。参加者全員が疑義照会に関する法的根拠があることを知らなかったことから、医学部と薬学部では疑義照会に対する教育に差があることが示唆された。疑義照会を受け付けることは業務負担となる反面、医師にとって教育的な側面も持ち合わせることが明らかになった。疑義照会の中には薬剤師の判断で行ってよい項目もあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年に厚生労働省における「チーム医療の推進に関する検討会」で「医師などと予め作成・合意されたプロトコールに基づき、薬剤師は他の医療職と協働して薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間の変更や検査のオーダーなどを実施する」とチーム医療における薬剤師の更なる参画が言及された。これを踏まえ、平成24年度は医師と薬剤師を対象とした疑義照会に関するアンケート調査を実施した。 これに加え、当初初年度に計画していた医師へのインタビュー調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当初予定をしていた疑義照会における医師と薬剤師双方が参加した疑義照会に対するとらえ方や今後のあり方などをワークショップ形式で実施する。これによって、今後の医師と薬剤師の協働のあり方について模索をしていきたい。 さらに、昨年度実施した医師へのアンケート調査ならびにインタビュー調査から、疑義照会に関する教育について医学教育と薬学教育では大きな違いがあることが示唆された。そのため今年度は、現在の医学と薬学教育のモデル・コアカリキュラムの比較や、大学のカリキュラムでは、疑義照会に関する教育がどのように組み込まれているかを検討したいと考えている。 さらに今年度は、この研究の最終年度にあたり、研究機関中に実施した調査を踏まえ学会発表や論文作成などを行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究経費は、研究協力者との打ち合わせ、ワークショップ協力者への謝礼や交通費などに充てる。 また、調査結果の学会発表、ならびに学会機関誌への投稿費用などに充てる。 さらに、最終年度の報告書を作成し、研究協力者などに配布する費用に充てる予定である。
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