2011 Fiscal Year Research-status Report
次世代型電子カルテシステムを用いた医療の質改善のためのプロセス解析手法の開発
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23590591
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
白鳥 義宗 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (20313877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 久隆 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50174470)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | クリティカルパス / 電子カルテ / バリアンス分析 / クリティカル・インディケータ |
Research Abstract |
(1)標準診療評価項目を利用した標準的診療プロセス策定のための基礎的検討 多くの大学病院においてしばしば縦割り診療がなされている。そして,同一疾患でありながら,係る診療科によって 治療法が違うということが起き得る現状である。そのため,病院内の多くのデータを駆使したTotal Quality Management (TQM)という考え方に立って診療を検討する必要があった。そこで,標準アウトカムマスタを利用し,標準化した診療評価項目に沿って,科学的・統計的な処理を行い,診療行為そのものの評価を多面的に行うことができる仕組みを検討した。さらに将来的に,そのデータを複数施設間でベンチマークすることにより,真の意味での「最適な治療」というものを定義できるようにしていく基礎を作り,一部の施設との間でベンチマークを行った。 (2)クリティカル・インディケーターの検討 診療行為におけるすべての事柄が同じだけの重要性を持つわけではない。診療評価項目の中で,その治療法を継続するまたはその治療法の評価を行う上で最も重要となる指標が「クリティカル・インディケーター」である。このクリティカル・インディケーターの最適化を目指すことによって,実症例におけるベスト・プラクティスが実現出来るものと考えられる。まず,それぞれのパスにおいて事前に設定しておいたクリティカル・インディケーター候補が真の意味でクリティカルな働きをしているのかどうかを検証する必要があり,本年度はそれぞれのパスにおけるクリティカル・インディケーター候補を検討した。今後このインディケーターの解析を行っていくことにより,それぞれの疾患についてクリティカルな働きをしている要因を洗い出し,検証を行い,診療プロセス上の問題点を明らかにすることが出来るものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は,病院内の全てのデータを電子的に一元管理した病院(インテリジェント・ホスピタル)において,ミニセット型パスと呼ばれる新規開発した独自の効率的な診療工程表(クリニカルパス法)を利用することにより,電子化されたあらゆるデータを基にがん化学療法を含む既存の治療法のさらなる成績向上・効率化・標準化などを行う手法の開発を目指すものである。 その達成度を評価すると,仕組み作り並びに個々のパスについての検討が予定に比し遅れている。これは研究代表者が病気により長期入院をせざるを得なくなったという要因が最も大きいと考えられる。しかし,その病気も治癒し職務に復帰しているため,次年度からの研究計画の中で遅れは取り戻せるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)バリアンス分析と医療の質改善対策の検討 診療計画の評価上最も重要なものはクリティカル・インディケーターであるが,このようなクリティカルなもの以外でも多くのバリアンスが生じるのが現実の医療である。臨床の現場では患者の個人差が大きいため,予定していた診療計画が必ずしも一律にこなせるわけではない。逆にそこで生じるバリアンスから経験的に,真に効率的・効果的な診療がみつかることも少なくない。我々が開発したミニセット型パスは,経時的または同時的に複数のパスを走らせることが出来る画期的な物であるが,この際に生じるバリアンスを出来る限り自動的に集計・解析する。複数のミニパスの組合せを同一疾患で走らせ,その差を統計的に解析することにより,最適な抗癌剤の組合せを検討し,このバリアンスの集計・解析によって,より効率的・標準的な診療計画の策定を目指すことが出来るものと思われる。(2)電子クリニカルパスにおけるレジメン機能の高機能化 電子クリニカルパス上で行われるがん化学療法のレジメン機能の向上を図る。がん化学療法の治療成績向上・効率化・標準化を行うため,診療支援機能,さらには意思決定支援機能を盛り込み,がん化学療法において医師を最適な治療法選択のためにガイドすることが出来るような機能アップを目指す。これには,がん治療における臨床データベースとそれから生み出される最適化のロジック作りが重要となる。(3)がん以外の難治性疾患への応用 このような電子クリニカルパスを用いた治療成績向上・効率化・標準化の取り組みは,決してがんに限った事柄ではない。他の難治性疾患においても同様のことが期待されている。ここで得られた知見を他の難治性疾患に応用し,他疾患での有効性を証明したい。疾患の難治性が高く,患者ごとのバラツキが大きな疾患ほど効果が期待できるものと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先の達成度の所でも記載したが,研究代表者の病気・長期入院のために全体的には少し計画が遅れ,それに伴い予算の執行も遅れている。具体的には,仕組み作り並びに個々のパスについての検討が予定に比し遅れている。そのため,次年度にはその遅れている部分を意識し,重点的に計画実行を検討する。次年度内には遅れを吸収し,3年計画全体のスケジュールには影響ないものと予想される。また,研究成果を発表する方法もあわせて検討していく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Acid sphingomyelinase regulates glucose and lipid metabolism in hepatocytes through AKT activation and AMP-activated protein kinase suppression.2011
Author(s)
Osawa Y, Seki E, Kodama Y, Suetsugu A, Miura K, Adachi M, Ito H, Shiratori Y, Banno Y, Olefsky JM, Nagaki M, Moriwaki H, Brenner DA, Seishima M.
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Journal Title
FASEB J
Volume: 25
Pages: 1133-1144
Peer Reviewed
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