2011 Fiscal Year Research-status Report
病院の地域連携・退院調整部門における評価指標確立に向けた研究
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23590592
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 利彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (70252187)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 退院調整 / 評価指標 / DPC / 地域連携 / GIS |
Research Abstract |
DPCデータや院内の医事会計データ、退院患者等へのアンケート調査などを利用して、大学病院の地域連携・退院調整部門の活動実績を可視化するとともに、同部門に対する新たな評価指標の確立を目指している。平成23年度の研究実績は、(1)DPCデータ分析:平成22年7月~平成23年6月の退院患者9625人のうち、退院後の転帰が療養型病院など他施設への転院患者は262人(2.7%)であり、そのADL:Barthel Index (B.I.)は平均43.0と通院患者のB.I.(85.8)と比べて低い傾向にあった、(2)当院の退院支援患者へのアンケート調査:平成23年7月~10月に当院の退院調整部門が支援した患者125人に対して、退院1か月後の状態からみた満足度調査を実施した。現時点でのアンケート回答率は56.8%であるが、70歳以上の患者が60.6%、在宅患者32.4%、病院他の施設患者60.6%であり、退院調整部門の職員に対する満足度は91%と良好であった、(3)インターネットを利用した一般住民へのアンケート調査:静岡県ならびに愛知県に在住する一般住民で、本人または家族が直近3か月以内に退院時相談を経験した300人を対象とした。病院での相談相手として、主治医以外では退院調整部門のMSWへの信頼度が高く、相談・問題解決が良好であった患者・家族の病院満足度は極めて高いという結果であった。 上記研究結果は「平成23年度大学病院情報マネジメント部門連絡会議」と「医療連携研究会-国立大学部門」において速報としての発表を行った。 平成24年度は、地域連携室を経由した紹介患者のデータベース化と、郵便番号をGISとリンクさせた紹介元施設の分布状況分析を実施する。また、平成23年度の患者満足度調査結果をさらに詳細分析し、職種別評価指標のモデル構築につなげる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、DPCデータ分析の後に、紹介元施設のデータベース化とGISとリンクさせた施設分布の状況分析を先行する予定であったが、患者満足度調査の実施とその分析作業に時間がかかると考え、平成23年度は、DPCデータ分析と退院支援患者へのアンケート調査を行った。また、当院の退院患者へのアンケート調査のみでは、当院への気遣い等から不満の意見が拾いにくいことなども考えて、一般住民向けのインターネット調査も併施した。平成23年度の主たる研究結果は、国立大学病院の関係職員が集まる研究会等で発表し、現時点での問題点ならびに今後の方向性に関して議論することができた。 収支報告にあるように、約20万円の費用が平成24年度に繰り越しされたが、未回収のアンケート回答やインターネット調査結果のさらなる分析等に使用し、全国で標準的に用いることが可能な退院調整部門の評価指標開発につなげる予定である。また、平成23年度に予定していた紹介元施設のデータベース化は、アナログレベルではデータ集積が終了しており、デジタル化およびGISとリンクさせた分析作業等は容易な状況にある。 結論として、一部計画変更はあったが、全体として研究計画の遂行状況は問題なく推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、未回収のアンケート回答およびインターネット調査結果の詳細分析を先ずは行い、本研究の最終目標である「退院調整部門の活動実績を客観的かつ他施設との比較が可能な評価指標化する」ことを最優先する。具体的には、退院調整部門に属する職種別の満足度評価をスケール化することを目指す。そして、モデル的なスケールツールを各種学会・研究会等で提案し、国立大学病院での試行調査を目論んでいる。 上記目標を達成するために、地域連携部門における患者情報のデータベース化と分析、入院患者における退院困難性の早期診断の確立、患者満足度調査からみた適切な評価指標の提案を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の繰り越し分を含む平成24年度研究費は、アンケート調査結果の詳細分析に使用するとともに、紹介元施設のデータベース化・GISとリンクさせた地域分布の分析、入院患者の退院困難性診断のツール作成、退院調整部門の新たな評価指標開発に当てるものとする。また、国立大学病院医療連携・退院支援部門連絡協議会や医療連携研究会-国立大学部門等への参加と発表報告、ならびに論文報告への準備を行う予定である 上記計画に絡んで、PC関連の物品費、学会・研究会等への参加旅費、データ分析等への謝礼などの費用化を考えている。
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Research Products
(2 results)