2011 Fiscal Year Research-status Report
指示のシステム化による医療安全と診療記録の質保証のための問題解決的アプローチ
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23590606
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宇都 由美子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50223582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊本 一朗 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40225230)
村永 文学 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00325812)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 指示システム / 条件指示 / 実施入力 / 電子カルテ / ベッドサイドPC |
Research Abstract |
平成23年度の研究計画としては、主に研究環境の整備として、指示の現状分析、指示システムの環境構築、指示システムのシミュレーション等の機能の開発設計と評価をあげ、以下の実施計画に基づいて研究を行った。1.指示の体系化を図る。(1)現行の指示の場面で用いられている用語を抽出し、用語の整理と各用語に対する定義づけを行った。また、必要に応じて類義語等も含めて体系化を図った。(2)処方・注射オーダのようなカレンダー及びスケジュール管理が必要な薬剤指示について、必要条件を抽出した。(3)検査・画像・輸血オーダなど薬剤以外のオーダ指示連携に必要な詳細指示等の分析を行った。(4)発熱時、疼痛時、不眠時など頓服薬の投与を伴う条件指示について、条件のバリエーションに基づくオーダと指示の関連性を明らかにした。(5)オーダを伴わないその他の指示を一般指示とし、該当する項目の洗い出しと条件指示との棲み分けを行った。2.指示システムのシミュレーション用環境の構築を図る。(1)PCの環境設定とバーコードリーダーの動作環境の確認を行った。(2)指示システムのシミュレーション例の洗い出しを行った。(3)指示システムのシミュレーション用プログラムの導入を行った。(4)指示システムの動作確認と調整を行った。(5)指示システムシミュレーション用PCの情報セキュリティに関する動作確認を行った3.ベッドサイド用PCの評価・選定と環境構築を図る。(1)指示システムを利用するベッドサイドPCに必要とされる要件の洗い出しを行った。(2)最適なベッドサイドPCの条件と使用方法に関する運用面の検討を行った。(3)他の医療機関で実績のあるシステムの応用等を検討した。具体的に、全国のDPC対象病院の中から無作為抽出した約800施設にアンケート調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画としては、主に研究環境の整備として、指示の現状分析、指示システムの環境構築、指示システムのシミュレーション等の機能の開発設計と評価を実施することであった。特に指示の体系化を図ることは、本研究の基幹を成すものであり、この点について、現行の指示の場面で用いられている用語を抽出し、用語の整理と各用語に対する定義づけを行うことができた。また、HISを構成する各オーダの指示の流れと実施に関する必須事項を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究期間において、指示の概念枠組みを確立し、それに基づいて、既存のオーダや診療報酬請求並びに実施記録との円滑な連携を可能とする仕組みについて検証を行った。今後は、これらの成果をもとにシステム化し、それらを実装して機能評価、運用評価を試みる。一方、本研究で実証したことと、他の医療機関で稼動している指示システムの実態調査を行い、それらと対比して、本研究の成果評価を行う。具体的には、(1)指示システムシミュレーション用PCに、HISから必要なデータを抽出しインストールする。(2)導入したベッドサイド用PCとバーコードスキャナーの機能評価を行う。(3)指示システムのシミュレーションについて、複数PCにおけるデータの共有や競合について確認、評価する。(4)指示システムにおけるシミュレーションの種類を増やし、さらに、例外処理等も含め、運用とシステム機能の双方からシステム評価を行う。(5)指示に基づく効率的な実施入力の検討と、記録へ確実に反映する方法を検討する。(6)診療記録に反映させる際の必須事項、タイミング、禁則など具体的に洗い出す。(7)指示に対する実施入力が行われていない場合の確実な救済方法を検討する。(8)複数ベッドサイドPCにおけるデータの競合の際のトラブルの確認とその回避方法の検討を行う。(9)平成23年度に実施した他医療機関の実態把握のためのアンケート調査結果について、分析を行い、得られた結果を研究に還元する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に解析予定であった指示システムのシミュレーション例の洗い出しが予定どおり結果が得られず、その結果に基づく指示システムのシミュレーション用プログラムの導入予定であったが、次年度に引き続き検討することとなった。平成24年度はこの経費と合わせて、さらに詳細なデータが得られるよう解析をすすめる予定である。その他は以下を予定している。1.物品費:ベッドサイド用携帯端末として、ノート型PC(パナソニックLet' note SX1 CF-SX1GETDR)を1台購入する。また、消耗品として、マイクロソフトoffice Professional 2010を購入する。2.旅費:成果発表用所費として、国内(函館市、船橋市、新潟市)における学会参加と、国外(モントリオール(カナダ)NI2012)における学会に参加し、発表予定である。3.謝金:研究に関連した全国アンケート調査を行い、その集計作業代として謝金を払う。4.その他:アンケート用HP作成費用と、海外雑誌投稿用並びに海外文献等の研究資料の翻訳を行う費用が必要である。
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Research Products
(7 results)