2013 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性アシネトバクターによる院内感染の制御方法の確立
Project/Area Number |
23590614
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
林 俊治 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40260765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森澤 雄司 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70302685)
吉村 章 自治医科大学, 医学部, 助教 (90448845)
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Keywords | 多剤耐性 / アシネトバクター / 院内感染 / 感染制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は多剤耐性アシネトバクター(MDRA)による院内感染を制御するための方法を確立することである。 我々はMDRAによる院内感染アウトブレイクの事例を複数調査し、その制御法の検討を行ってきた。MDRAによる院内感染の特徴は、他の病原体に比べ、長期間にわたって持続することである。同じ施設で七年間にわたって遺伝的に同一のMDRA菌株が患者および環境から分離される例もあった。また、従来の院内感染制御で重視されてきた手指衛生の励行や個人防護具の使用が大きな効果を示さない。これらは、MDRAの感染源が患者や医療従事者といったヒトではなく、医療施設内の設備や機器といった物品であることに起因する。したがって、MDRAによる院内感染の制御に当たっては、感染源となっている物品の特定に注力すべきである。 我々の調査でMDRAの感染源として特定されたものは、シャワー室で使用されていたウレタン製のマット、処置室の排水溝、病室の洗面台である。いずれも湿潤状態と乾燥状態を交互に繰り返す設備や用具であり、このようなものがMDRAの感染源になりやすいと考えられる。また、感染源を特定する際の環境調査においては、通常の非選択培地ではなく、本菌の多剤耐性を逆に利用した抗菌薬含有培地の使用が有効である。 MDRA感染症の除菌療法の可能性を検討する目的で、我々は様々な抗菌薬の本菌に対する抗菌活性のスクリーニングを行った。その結果、カルバペネムおよびキノロンに対するMDRAの耐性は安定であったが、アミノグリコシドに対する耐性は比較的不安定であることが判明した。複数のアミノグリコシド系抗菌薬の抗菌活性を調べると、少数ではあるが有効な薬が見つかってくる。ただし、その薬が何であるかは、菌株によって異なる。この結果をすぐに臨床応用できるわけではないが、MDRA感染症の治療法を確立するうえで有用な結果である。
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[Presentation] 病院内の環境細菌調査2014
Author(s)
横田憲治、渡邉都貴子、苔口進、林俊治、平井義一
Organizer
第29回日本環境感染学会総会・学術集会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20140214-20140215