2011 Fiscal Year Research-status Report
パッシブRFIDタグによるME機器の自動的な包括管理の研究
Project/Area Number |
23590623
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
保坂 良資 湘南工科大学, 工学部, 教授 (70173581)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | パッシブRFIDタグ / ME機器 / 自動認証 |
Research Abstract |
平成23年度には、臨床現場でのUHF帯パッシブRFIDタグによるME機器所在管理の可能性を、実験的に検証した。実験は札幌医科大学附属病院で3回実施した。 第1回目は、本実験の事前調査として8月1日から同3日に実施した。ここでは、ME機器が置かれると考えられる同病院地下階のMEセンタ-、5階北病棟器材庫、同病棟ナ-スステ-シヨン処置室で、電磁環境の状況を調査した。その結果、処置室のみ金属製物品棚が多く配されていることがわかった。 第2回目は、本実験として9月4日から同9日に実施した。ここでは前述の3カ所で、ME機器に添付するUHF帯パッシブRFIDタグの認証範囲を調べた。実験には据置き型1Wのリ-ダを用いた。ハンディリ-ダも持参した。実験結果から、処置室以外では実用上十分な認証範囲が得られた。処置室では、物品棚など金属類の影響により小さめの認証範囲にとどまった。ただしリ-ダアンテナの配置を考慮すれば、相当程度の認証範囲が得られる見通しも得た。この実験と併せて、リ-ダから発せられる電磁波の電界強度を調べ、植込み型ペ-スメ-カの脅威となる範囲も調べた。その結果、最大出力1Wで運用しても、リ-ダアンテナからおよそ350mm離れれば、脅威となる電界強度は観測されなかった。 平成24年7月に、UHF帯RFIDの規格が改編されることがわかった。このため、新規格に準拠したリ-ダとタグを用いて、追加実験を実施した。これは1月30日から2月3日に実施した。その結果、全体的に認証範囲が拡大し、処置室にあっても十分な認証範囲が得られた。さらに、ME機器の所在管理をより簡単に実現するために、病棟入り口での認証範囲も調べた。その結果、ここを通過するタグを認証するのに十分な範囲が得られた。 平成23年度に実施した検証により、UHF帯パッシブRFIDタグは、ME機器の院内所在管理に有効との結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究途上において、UHF帯RFIDの規格改編が実施されることとなった。これを受けて平成23年度の研究では、当初の計画の範囲を大きく超えて、新規格に準拠したリ-ダとタグについても追加実験を行いそのパフォ-マンスを評価した。その結果、新規格に準拠したリ-ダやタグならば性能の改善が著しく、多くの臨床現場にてほぼ確実に応用可能であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
UHF帯RFIDの規格が、平成24年7月に大きく改編されることが、新たに決定された。旧規格の物品購入は適切でないため、平成23年度の研究費は、若干平成24年度に繰り越すこととした。これについては、平成24年度の実験などで物品費として使用したい。 平成24年度においては、「null点の影響の解析」「施設内遠隔認証実験」「ME機器所在管理ソフトウェアの試作」を実施目的とする。以前に予定していた「アクティブタグとのハイブリッド化」については、アクティブタグのバッテリメンテナンスが、臨床工学技士の業務負担の増大につながりやすいことがわかったため、中止することとした。null点については、定在性の強弱に対しての解析を予定している。施設内遠隔認証については、札幌医科大学附属病院2階の臨床工学技士室の情報端末からの、院内遠隔認証実験を予定している。所在管理ソフトウェアについては、院内でのME機器探索機能の実現を予定している。 平成25年度においては、「異なる組織間での所在管理」などを試み、包括的なME機器の管理に向けての提言をまとめたい。また2013年8月には、国際医療情報学会大会(medinfo2013)がコペンハ-ゲンで開催される。本研究の成果をこの会議で発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究内容は、「解析」の比率が増大する。このため確認実験は、やや小規模で実施する。物品費は、これに関連して使用する予定である。一方デ-タ解析の参考とするため、関連学会での情報収集は継続して実施する。このため国内旅費は、調査旅費として使用する予定である。
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