2011 Fiscal Year Research-status Report
診療チーム意思決定のバスケット分析とAPMLを用いた道筋解析と行動予測
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23590629
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 淳 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40148557)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 意志決定 / バスケット分析 / APML / 道筋解析 / 行動予測 / 診療チーム |
Research Abstract |
1. 転帰・事後の結果が判明している76事例のカルテのアセスメント記載について開発済のアルゴリズムを適用し、アルゴリズムの問題点を洗い出した。記載量が多い場合には、ほぼ所期どおりの結果が得られたが、記載が短フレーズや単語の羅列であった場合の予測能力は低かった。また、経過に問題が生じたケースでは記載が多く、順調だった場合には記載が少ない傾向があることから、評価に際して記載量の多寡によるバイアスが生ずることが判明した。2.RDF/RDF Schemaに基づいて記載事項を定型化変換して上述の事例を再解析した。定型化によってデータ量の多寡によるバイアスは軽減したが、予測能力の低下は顕著となった。この過程で、APML解析前のバスケット分析による特徴抽出精度が結果を左右すること、および予測精度を向上させる動詞・助動詞の使用頻度が実際には低く、名詞と暗黙知の処理が精度向上の鍵となることが明らかとなった。これらの結果をもとにアルゴリズムを改変し、単純系モデルとして419scamと呼ばれる詐欺メールの出現予測とリアルタイム検出に適用して検証した。電子メールのエンベロープ情報程度の情報量があれば、多くの場合、名詞だけでも95%以上の確率で出現を予測し捕捉できることが判明した。しかしながら、エンベロープ情報から送信サーバに関する情報を除いた256Byte未満のデータでは、的中度は50%程度に低下した。その後、この状態を常時シミュレートできる検出モデルが得られて恒常的にPDCAサイクルを廻すことが可能となったため、アルゴリズムの改良によって、現在、この程度のデータの種類・量でも70%程度の的中率が得られるようになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「1.レトロスペクティブアプローチを用いた診療チーム意志決定推測アルゴリズムの改良と検証」については、実績概要に記載のように、問題点の洗い出し、ポイントの把握、アルゴリズムの改良について、ほぼ、所期の目的を達成できた。「2.記載内容の定型化とレトロスペクティブアプローチを用いた検証」についても、ほぼ所期の目的を達成し、単純系を用いたアルゴリズム改良の前段についての結果を「SMTPエンベロープ情報の特徴解析による419 scamメッセージの検出」として医療情報学31 (supple) 699-702 (2011)に発表した。「3.定型化情報(テンプレート)に基づいた展開予測のプロスペクティブアプローチによる検証」については、改良中のアルゴリズムを用いて23年度に予定していた1セットの解析が終了している。 平成24年度以降に予定していた「4.セマンティクスと定型記載変換を利用したデータマイニング処理対応」についても準備が進み、平成24年度の機器購入によって「5.セマンティクスに基づいた展開予測のプロスペクティブアプローチによる検証」の実施が可能な状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究によって、診療記録の記載内容は名詞・名詞句の羅列である場合が多く、記載の解析に際しては暗黙知の処理が重要となることが明らかとなってきた。そこで、データが少量でかつ名詞・名詞句の羅列が多い場合には、暗黙知を取り扱うためのロジックが新たに必要となると考えられたため、24年度には、当初の計画に加えて、暗黙知の顕在化による形式知への変換手法の検討を追加する。 少量でかつ名詞・名詞句の羅列が多いデータの処理をシミュレートするための解析モデルとして大手ISPから送信される419 scamメッセージの検出予測・捕捉が格好のモデルとなることが判明し、このモデルを用いたアルゴリズムの改良を行ないつつある。この改良作業を24年度も継続して実施する。 これら以外については、当初の計画どおりに研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は、震災による交付減額の可能性についての通知や計画停電の可能性などから、消耗品について性能の精査と比較を厳密に行なって当該年度の研究遂行に支障のないレベルで当初予定していた機器よりもやや低スペックでエネルギー消費の少ないものを購入した。また、できるかぎり既存の機器を活用すること等によって、104,065円の24年度使用額が残った。23年度についてはこれらの機器を用いてほぼ所期どおりの研究を遂行できたが、解析データの増加(特に単純系モデルでは解析のために加工中の中間データをを含むと約1.4TBytes)によって、データ保存領域の不足が問題となってきた。 そこで、24年度は、消耗品として解析・データ変換機構搭載のための小型サーバ本体の購入(当初計画どおり)に加えて、当初予定のコンソール制御用小型PCに代えて23年度の繰越額と合わせて小型ストレージ(Promise DS4600 4x2TB RAID 相当品x1:当初は25年度に購入を予定していた)を前倒しして購入する予定である(コンソール制御PCは24年度は既存のものを使い、25年度購入とする予定)。なお、24年度は、消耗品に加えて学会発表(1回)のための宿泊・交通費(計画変更なし)および論文投稿費用1報分(計画変更なし)を予定している。
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Research Products
(2 results)