2015 Fiscal Year Research-status Report
ナショナルデータベースを活用した予防・医療の平均余命・医療費への効果測定
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23590633
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
岡本 悦司 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (90247974)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | ナショナルデータベース / レセプト / 特定健康診査 / ハッシュ関数 / 暗号化 / 行政機関個人情報保護法 / 統計法 / 医療給付実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボ健診の医療費効果の測定には,レセプトデータと健診データが個人単位で正確に突合されることが大前提であることから,まず「レセプト・特定健診データベース(NDB)」のレセプトと健診データの突合率を評価した。 その結果,医療費ベースで15.4%の突合率しかないことが明らかとなった。 原因を分析したところ,暗号化される保険者の記号と番号のうち記号に漢字を含む保険者は突合率が良く,健康保険組合や全国健康保険協会のように漢字を含まず数字のみの保険者は突合率がほぼゼロに近いことが明らかとなった。 その理由としては,漢字はいかなる場合も全角にしかならないが,数字は全角と半角のいずれも可能であり,しかもレセプトに含まれるデータは全角,健診データに含まれるデータは半角であることからハッシュ関数に変換した時に突合されなくなる,という初歩的な暗号化ミスによることが判明した。 またNDBは統計法に基づく調査ではなく,行政機関個人情報保護法による法的制約のため,個人が特定されると利用停止や削除を請求される恐れがあるため保険者単位の詳細な分析が制度的に不可能であることもわかった。 そのため,NDBの利用申請を断念し,NDBと同様に全レセプトを対象にした統計法に基づく調査である医療給付実態調査データを統計法に基づいて申請することに切り換えた。担当課との折衝に1年近く費やした。本調査は2008年度より実施されているので初年度からのデータを請求したが,サーバーの制限から初年度のデータはとりだせず,5年間分を確保するため2013年度分の調査が完了するまで待たざるを得なかった。このほどデータ提供が実現したため,研究期間を1年延長して目下保険者別メタボ関連医療費の推移を分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初ナショナルデータベースの利用を予定していたが,突合率の悪さ,法的制約のため断念せざるをえず,代わりにナショナルデータベースに相当する統計法に基づく調査である医療給付実態調査の統計法に基づく調査票利用に切り換えた。担当課との折衝に1年以上費やしようやく研究期間終了直前にデータが交付された。やむをえず研究期間を1年延長を申請し認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
延長した今年度中に,医療給付実態調査より保険者別の5年間のメタボ関連医療費の推移の分析を完了させる。既に14億件のデータをSQLサーバーに読み込んだが,データ量のためか処理上のトラブルが生じているが,早急に対応して年度内の完了を目指す。
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Causes of Carryover |
医療給付実態調査データの提供の遅れから最終年度内に分析を完了させることができず,1年間の延長を申請し,認められた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
受領したデータは14億件という膨大なものであり,SQLサーバーに読み込むことには成功したが,その後の処理を行おうとすると機械がストップする状況になっている。目下原因を精査中であり,たとえばもしサーバーの容量に原因があることが判明したらサーバーのシステムメモリの増設や処理速度向上のために支出する計画である。
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