2012 Fiscal Year Research-status Report
診療ガイドラインにおける新たな課題の検討とその普及・実施計画立案に関する研究
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23590634
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
濱島 ちさと 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 室長 (30286447)
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Keywords | 医療の質 / 診療ガイドライン / 利益相反 / モデル評価 / 利益・不利益 |
Research Abstract |
1)2011年3月に米国IOM(Institute of Medicine)によるガイドラインの定義を変更以降の国際動向について情報収集した。ガイドライン作成団体では、作成方法を見直し、標準化が進んでおり、その傾向はエキスパートのコンセンサス会議を主体として作成してきた学会ガイドラインに顕著であった。 2)米国IOMでは科学的根拠のレビューを行う委員会とガイドライン作成を行うガイドライン作成委員会の分離を推奨している。わが国におけるガイドライン作成は両者が混在している。その手順を整理し、国立がん研究センターがん研究開発費による「有効性評価における胃がん検診ガイドライン」の更新版作成において、分離作成方式のトライアルを実施中である。 3)モデル評価については、International Society for Phamacoecomonics and Outcome ResearchとSociety of Medical Decision Makingによるモデル評価の合同ガイドラインが公表された。本ガイドラインでも、長期経過による評価が必要な予防対策への応用が推奨されており、我が国におけるがん検診ガイドライン作成で応用を検討中である。 4)無作為化比較対照試験公表後の対応について、子宮頸がん検診ガイドラインを検討した。HPV検査を用いた子宮頸がん検診について3件RCTが報告され、検診方法の詳細は異なるが、いずれの結果も有効性を示唆する結果であった。これらの結果を踏まえ、諸外国におけるガイドラインにおいてHPV検査の評価に変更のあったガイドラインを調査した。ガイドラインの評価変更は上記RCTの結果だけではなく、自国で行われた評価研究の結果が重視されての判断が行われていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23~24年度に、ガイドライン作成の関する新たな声明が公表されたことから、ガイドライン作成の方向性は急速に変化している。こうした状況を把握し、新たなガイドライン作成方法を検討しているが、モデル評価関連の検討が遅れている。モデル評価については、昨年公表されたInternational Society for Phamacoecomonics and Outcome ResearchとSociety of Medical Decision Makingによるモデル評価の合同ガイドラインをもとに検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
診療の標準化・質の改善を目的とし、診療ガイドラインの作成が国内外で広く行われているが、医療のニーズに対応するための課題を残している。信頼性のある質の高い安全な技術の提供のためには、新技術の迅速な評価や利益・不利益の評価は、診療ガイドラインに不可欠の過程である。診療ガイドラインは医療政策に有機的に組み込まれることにより有効活用されることから、作成過程の改善や普及・実施計画にも同様の視点からの検討が必要である。そこで、診療ガイドライン作成の問題点である新技術の迅速な評価、利益と不利益の計量的評価、利益相反への適切な対処を検討し、さらに政策決定への利用を目標とした普及・実施計画を立案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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