2013 Fiscal Year Annual Research Report
診療ガイドラインにおける新たな課題の検討とその普及・実施計画立案に関する研究
Project/Area Number |
23590634
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
濱島 ちさと 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 室長 (30286447)
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Keywords | 医療の質 / 診療ガイドライン / 利益相反 / モデル評価 / 利益・不利益 |
Research Abstract |
1)諸外国におけるガイドラインの利益・不利益の評価方法を参照し、我が国のガイドライン作成に応用可能な評価方法を開発した。 2)乳がん検診を例に、マンモグラフィ単独法について、利益と不利益のバランスを検討した。利益は死亡率減少効果、不利益は要精検者数とした。乳がん死亡1人回避のための必要数(NNI:Number Needed to Invite)と、それに伴う要精検者数を算出した。①マンモグラフィ単独法の要精検率(検診受診者1,000人中の要精検者数)は、2008年度日本乳癌検診学会全国集計報告より引用した。②Number Needed to Invite (NNI)は、わが国の乳がん死亡リスク(2011)と対象年齢の受診者を13年間追跡し期待できる乳がん死亡リスクの差の逆数として算出。③13年間追跡し期待できる乳がん死亡リスクは、わが国の乳がん死亡リスク(2011)と各検診方法の相対危険度(メタ・アナリシス)を乗じて得られる。④わが国の乳がん死亡リスク(2011)は、がんの統計参照。⑤乳がん死亡1人回避のための必要数の要精検者数は、NNIと各方法の要精検査率を乗じた。 3)2)の結果から、13年間にわたり、50歳女性864人がマンモグラフィ単独法の検診を受けると、年間58人に精密検査が必要となる。一方、13年間にわたり、40歳女性2,530人がマンモグラフィ単独法の検診を受けると、年間195人に精密検査が必要となる。同様に、年齢別にNNIと精密検査数を算出し、利益・不利益の両者を検討することができる。しかし、対象年齢を限定するための閾値設定にはさらなる検討が必要である。 4)乳がん検診では、我が国における死亡率減少効果を検討した研究がないことから、海外の無作為化比較対照試験の結果を利用した。医療政策への応用には、わが国における研究成果に基づく利益・不利益に関する評価が必要である。
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