2012 Fiscal Year Research-status Report
医療機関および地域包括支援センターにおける認知症対応能力評価尺度の開発
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23590635
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Research Institution | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
Principal Investigator |
粟田 主一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90232082)
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Keywords | 認知症 / かかりつけ医 / 地域包括支援センター / 認知症疾患医療センター / 鑑別診断 / 周辺症状 / 地域連携 / 認知症サポート医 |
Research Abstract |
平成23年度~平成24年度にかけて実施した,東京都および沖縄県の医療機関調査のデータを活用して,7因子構造28項目の「認知症のための医療サービス調査票」(MSD-28)を開発し,国の認知症施策の一つである認知症地域医療支援事業(認知症サポート医養成事業,かかりつけ医認知症対応力向上研修事業)の意義を評価した.すなわち,東京都の一般診療所を対象に,「認知症サポート医がいる診療所」「かかりつけ医認知症対応力向上研修に参加している医師(研修受講医)がいる診療所」「研修受講医がいない診療所」の認知症対応力を調査した.その結果,「研修受講医がいる診療所」は,「研修受講医がいない診療所」に比較して,かかりつけ医機能,鑑別診断機能,周辺症状外来対応機能,地域連携機能,在宅医療機能が有意に高く,「認知症サポート医がいる診療所」は,「研修受講医がいない診療所」「研修受講医がいる診療所」のいずれと比較しても,かかりつけ医機能,鑑別診断機能,周辺症状外来対応機能,地域連携機能,在宅医療機能,周辺症状入院対応機能,身体合併症入院対応機能が有意に高いことが示された.しかし,認知症の鑑別診断や周辺症状対応を「通常の診療業務」として行えているサポート医は約半数に留まった.このことは,認知症の鑑別診断,周辺症状対応,身体合併症対応,地域連携推進機能を担う「認知症疾患医療センター」の適正配置の必要性を示すものである.一方,地域包括支援センターの認知症支援業務のための標準的なマニュアルが存在しないという課題がある.平成24年度には,地域包括支援センターにおける「認知症初期対応支援マニュアル」を策定するためのワーキンググループを宮城県仙台市に立ち上げるための準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「医療機関の認知症対応力評価尺度」MSD-28を完成させ,一般診療所の認知症対応力を測定し,認知症地域医療支援事業の意義を評価した.また,地域包括支援センターの認知症対応力評価尺度CSDについては,その改良版を作成するため準備作業に着手しており,平成25年度に完成させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
認知症疾患医療センターの機能水準を評価するための質問項目を作成し,これを用いた認知症疾患医療センターの実態調査を行った上で,認知症疾患医療センターの機能水準を評価するための尺度を完成させる予定である.また,地域包括支援センターにおける認知症支援業務を標準化するためのマニュアルを作成するとともに,このマニュアルに沿った支援の遂行状況を評価するための評価尺度を作成する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
認知症疾患医療センターの活動水準および地域包括支援センターの認知症支援業務を質問紙法で調査するために印刷費として30万円,郵送費として20万円,人件費として30万円,消耗品費として8万円を計上する.また,研究成果報告のために,ポルトガルで開催される世界社会精神医学会に参加するために,その旅費として30万円を計上する.
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Research Products
(10 results)