2012 Fiscal Year Research-status Report
個別化治療を目指した小腸、腎尿細管薬物トランスポーターのゲノムバイオマーカー探索
Project/Area Number |
23590646
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 診療准教授 (20296510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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Keywords | 薬物トランスポーター |
Research Abstract |
本研究は、小腸、腎尿細管に主として発現し、薬物の消化管吸収、腎排泄を調節している取り込み型薬物トランスポーターの遺伝子多型が薬物動態、薬物反応の個別化においてゲノムバイオマーカーとして有用であるかを探索することを目的とする。 抗けいれん薬ガバペンチンの薬物動態および中枢症状を評価した過去の臨床試験結果をもとに、同試験に参加した一部の被験者7名より血液検体を得、標的薬物トランスポーターとして新規有機カチオントランスポーター(OCTN1)のプロモーター、エクソン(1-10)、エクソン周囲イントロンの塩基配列を調べ、ガバペンチンの腎排泄低下を示した被験者1名においてのみイントロン5に1塩基多型を認めた。次いで、ガバペンチンの腎排泄に関与すると考えられる他薬物トランスポーター、有機アニオントランスポーター(OAT3)、有機カチオントランスポーター(MATE1)、アミノ酸トランスポーター(LAT2)についても多型の有無を調べたところ、上記被験者にMATE1プロモーター部の遺伝子変異を検出した。さらに、大学内倫理員会の承認を得て日本人DNA保存試料73検体を用いて今回検出された候補遺伝子多型について解析中である。 今年度は、検出された候補遺伝子の臓器分布が小腸、腎だけでなく肝臓、心臓、脳血液関門にも分布することを踏まえ、OCTN1あるいはMATE1多型を持つ者を対象として、吸収や排泄だけでなく臓器分布を含めた薬物動態と臓器での薬物反応との関係について検討する。現在、大学内倫理委員会への研究計画の申請準備を行っている。本研究の意義は、薬物トランスポーター多型による薬物の吸収、分布、排泄を介した薬物反応の個体差を明らかにすることで、医薬品開発における有害作用や効果といった薬物反応の検出方法や患者での遺伝子多型に基づく薬物用量の個別化に応用することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多型の頻度が多くはないため、多型を持つ被験者をリクルートするのに時間を要する。ヒトにおける薬物動態および薬物反応を測定するために病院施設の使用、スタッフの補助の調整が必要である。 倫理委員会への提出資料の準備、補償保険加入準備に時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究計画の作成に当たって、複数名で分散して行う。 薬物濃度の測定を外注する。 薬物反応の測定を病院内の医療職員に補助していただく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬物濃度外注測定費用、病院施設利用料、被験者への謝礼、試薬、器具など。
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Research Products
(3 results)