2013 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症における内因性アルデヒド産生亢進機構の解明と新規治療薬開発
Project/Area Number |
23590650
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 芳久 日本大学, 薬学部, 教授 (50151551)
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン / 酸化ストレス / 4-hydroxynonenal / N-acetyl-L-cysteine / Cu2+ / PGE2 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症 (ALS)は、運動ニューロンの変性を特徴とする予後不良の疾患である。本研究は、膜脂質過酸化により生じるアルデヒド産物4-hydroxynonenal (HNE)が誘発する細胞死に対して抑制作用を示すN-acetyl-L-cysteine (NAC)を用いて、ALSの発症や病態の進行におけるHNEの役割について精査するとともに、NACおよびその誘導体を用いた新規ALS治療薬の開発を試みることが目的である。 昨年度までの検討により化学修飾により体内動態を改良したNAC誘導体は、有効なALS治療薬となる可能性が示された。また、prostaglandin E2 (PGE2)の増加がHNEの産生を関与する可能性が示唆された。そこで、本年度は、脊髄内でのPGE2代謝酵素の変化を検討したところ、PGE2の代謝酵素の一つであるNAD+-dependent type-I 15-hydroxyprostaglandin dehydrogenaseの発現が発症後期でのみ増加した。そのため、脊髄におけるPGE2量の増加は、PGE2代謝系の低下によるものではなく、mPGES-1を中心としたPGE2産生系の亢進が関与することが示唆された。さらに、運動ニューロン様株化細胞NSC-34を用いて、PGE2暴露によるEP2の発現変化について検討を行った。PGE2の前処置は、EP2の発現レベルを上昇させるとともに、PGE2が誘発する細胞死を増強することが明らかとなった。 以上の結果より、HNEはALSの進行に重要な役割を演じており、NAC誘導体は運動機能障害発症後にも有効なALS治療薬となる可能性が示された。また、HNEの産生亢進機構にPGE2シグナル伝達系が影響を及ぼす可能性が示唆されたが、その詳細については今後の検証が必要である。
|
-
[Journal Article] New insights into the mechanism of neurolathyrism: L-β-ODAP triggers [Ca(2+)]i accumulation and cell death in primary motor neurons through transient receptor potential channels and metabotropic glutamate receptors.2014
Author(s)
Kusama-Eguchi K, Miyano T, Yamamoto M, Suda A, Ito Y, Ishige K, Ishii M, Ogawa Y, Watanabe K, Ikegami F, Kusama T.
-
Journal Title
Food Chem Toxicol.
Volume: 67
Pages: 113-122
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-