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2012 Fiscal Year Research-status Report

末梢血を用いたDNA修復活性評価法の確立

Research Project

Project/Area Number 23590659
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

鈴川 和己  筑波大学, 医学医療系, 講師 (50334066)

Keywords損傷DNA修復 / gammaH2AX / DNA二重らせん切断 / 放射線 / 末梢血白血球 / フローサイトメトリー
Research Abstract

ヒト末梢血単核球を分離し、放射線照射によりDNA二重鎖切断を発生させる。そのDNA損傷の検出を容易にするために、DNA二重鎖切断検出の確立したマーカーであるリン酸化H2AXを特異的モノクローナル抗体により同定する方法を用いた。照射する放射線量を調節することで、照射後一定時間でリン酸化H2AXが著明に増加し、その後徐々に減少する過程を明らかにした。このリン酸化H2AX減少過程は、損傷を受けたDNAが修復される過程を見ていると考えられる。この修復能力が、健常人とがん患者では異なり、がん患者のDNA修復が低下しているのではないかという仮定を検証する目的で、研究を進めた。
施設内倫理委員会で承認された手順に基づき、説明後同意を取得した健常人及び造血器悪性腫瘍患者から末梢血を得て、単核球を分離した。ガンマ線照射を行った後の、リン酸化H2AX陽性細胞数についてデータ収集した。得られたデータを元に、放射線照射後の末梢血単核球におけるリン酸化H2AX陽性細胞の経時的変化を解析した。
前年度行った解析では、健常人に比較して造血器悪性腫瘍健患者ではリン酸化H2AX陽性細胞比率の減少程度が少なく、治療後の造血器腫瘍患者では健常人に比較して、DNA二重鎖切断の修復能が少ないことが示唆される結果が得られた。今年度は解析対象症例数を増やして検討した。健常人78名、治療前患者33名、治療後患者90名から末梢血を採取し、解析を行った。幅広い年齢の健常人から検体を得ることが出来たため、年齢によるによる違いを検討可能となった。若年者と高齢者で比較をすると、高齢者のDNA修復能が有意に低いことが明らかになった。健常人と患者の年齢をあわせたペアで解析した結果、健常人と患者との間で、有意な差が見られなかった。また患者では治療前後で修復能の違いは見られなかった。以上の結果から、加齢による損傷DNA修復能低下が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

採択された研究計画書に基づきヒト末梢血白血球を用いた放射線照射によるDNA二重鎖切断とその修復能力の検討方法を確立した。この方法を用いて、健常人および造血器悪性腫瘍患者由来の血液を用いて検討した結果、二群の間にDNA修復能の有意な差がみられず、予想外の結果として、加齢によるDNA修復能の低下が明らかとなった。このため、今後研究は新たな局面を迎えることとなった。

Strategy for Future Research Activity

ヒト検体で得られた知見についてマウス由来検体を用い検証を行う。
マウスから採血し、末梢血単核球を用いて、放射線照射によるDNA損傷とその後の修復を評価する方法を確立する。その後、若年マウスと老年マウスを用いて加齢によるDNA修復能の変化を検証する。
損傷DNAが修復されると、H2AXの脱リン酸化が起こるが、その反応に関与する脱リン酸化酵素は少なくとも4つ報告されている。これらの遺伝子発現が、加齢による変化を起こす原因となっていることが想定されるため、これらの遺伝子発現の加齢による変化を、ヒト及びマウスで解析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

マウスを購入し、維持管理する費用を研究費でまかなう。またDNA損傷解析に必要な抗体をはじめとする研究試薬を購入する。
H2AXの脱リン酸化酵素遺伝子発現を評価するための定量PCR関連試薬購入も予定している。

URL: 

Published: 2014-07-24  

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