2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックスを使用したヒト骨髄異形成症候群特異的iPS細胞長期培養系樹立
Project/Area Number |
23590660
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
半田 寛 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (90282409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 博和 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (40166260)
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Keywords | iPS細胞 / 骨髄異形成症候群 / 細胞外マトリックス / 長期培養 |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群(MDS)は末梢血の1~3系統の血球減少と骨髄中の造血細胞形態異常、染色体異常によって特徴づけられる難治性造血疾患である。MDSは造血幹細胞の遺伝子に何らかの異常が発生し、正常な造血が行われなくなり骨髄不全と白血病へ移行しうる前がん状態の二つの側面をもつが、MDSがどのような遺伝子異常を蓄積させて白血病に移行していくのかについては不明な点が多い。MDS造血幹細胞のin vitroでの長期培養が困難であり、病態を再現できる細胞株や動物モデルがほとんどないため、病態解明や有効な薬剤開発にも支障がある。本研究では、最近ほぼ確立されつつあるiPS細胞作成技術を用いて、MDSの疾患特異的iPS細胞を樹立し、その病態を解明しようと試みた。初年度においてはiPS細胞自体のハンドリングを確実にするため、理化学研究所バイオリソースセンターよりiPS細胞を供与してもらいiPS細胞の保存と培養、さらにラミニンを用いたフィーダー細胞なしのiPS細胞培養を行った。iPS細胞はフィーダー細胞なしでも長期培養が可能であることが確認できたため、次にOct-4, SOX-2, Klf-4, LIN28, NANOGの5つの転写因子の発現ベクターを用いて正常造血細胞への上記遺伝子導入を行った。造血幹細胞への遺伝子導入効率が悪く、当初は導入自体が成功しなかったが、導入に成功したのちもiPS細胞作成になかなか結び付かなかった。そこで、ウイルスベクターをセンダイウイルスベクターに変更し、iPS細胞と思われるものの作成には成功した。その後MDS造血幹細胞への転写因子導入を行いiPS細胞の作成を試みているが、MDS細胞の遺伝子異常のためかMEFフィーダー細胞を使ってもiPS細胞らしき細胞の長期維持ができず、血球分化も成功しなかった。現在も長期維持が可能なシステムの構築を模索している。
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