2011 Fiscal Year Research-status Report
症例に応じた分子標的治療を目指した急性白血病幹細胞の定量と特性の検査法の開発
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23590662
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80251510)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 白血病 / 白血病幹細胞 / Notch / Hedgehog |
Research Abstract |
急性骨髄性白血病を治癒させるには単なる増殖抑制だけでなく、白血病幹細胞を根絶する治療戦略が必要である。そのためには、白血病幹細胞の自己複製の機序や特性を理解し、幹細胞を定量的に評価する必要がある。われわれは患者由来の白血病細胞の解析に先立ち、白血病細胞株を用いて、Hedgehogシグナルの白血病幹細胞に対する作用について検討した。Sonic hedgehog蛋白刺激によるHedgehogシグナル活性化は、短期的増殖能には有意な影響は与えないが、コロニー形成能を有する細胞の自己複製を促進することを報告した(論文1)。このほか、BMP4蛋白刺激によるBMPシグナル活性化の、白血病細胞の増殖に対する効果も検討し、BMP4刺激はコロニー形成能を抑制することを発表した(学会発表1)。これまでに我々は、Notchシグナル阻害薬が白血病細胞の増殖抑制をもたらすことを報告したが、その効果は充分なものではなかった。そこで、Notchシグナル阻害薬とHedgehog阻害薬であるシクロパミンとを合わせて白血病細胞培養系に添加して効果を調べた。両者の添加は増殖抑制効果を相加的に増強すること、シクロパミン添加はHedgehogシグナルの阻害だけでなく、Notchシグナル活性化をも抑制することを明らかにした(論文2)。このほか、患者の白血病細胞を用いて、幹細胞の指標の候補であるNotch関連蛋白の発現をフローサイトメトリーで解析し、白血病の病型によりその発現パターンが異なることを報告した(学会発表2)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幹細胞を制御するシグナルと白血病幹細胞との関連について、および、幹細胞を定量解析する検査法についての研究が順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画と23年度の成果をふまえて、細胞株だけでなく患者細胞でも同様の現象が認められるか否かを検討する。また、シグナル阻害薬の作用の特異性を明らかにするため、シグナル構成分子に対するsiRNAによる発現抑制でも同様の作用が得られるか否かを明らかにする。また、これらの作用が起こる機序をcDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞を培養するのに必要な試薬や、その分子生物学的解析のためのPCRプライマー、既製のマイクロアレイ、イムノブロット用の抗体などを購入する。
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