2012 Fiscal Year Research-status Report
症例に応じた分子標的治療を目指した急性白血病幹細胞の定量と特性の検査法の開発
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23590662
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80251510)
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Keywords | 急性白血病 / 白血病幹細胞 / Notch / mTOR / BMP |
Research Abstract |
急性白血病を治癒させるには、白血病細胞の単なる増殖抑制でなく、白血病幹細胞を根絶する治療戦略が必要である。そのためには、白血病幹細胞の自己複製の機序や特性を理解し、幹細胞を定量的に評価する必要がある。平成24年度はBMP4、mTOR、Notchの白血病幹細胞に対する役割について知見を得て論文発表を行った。 BMP4蛋白刺激によるBMPシグナル活性化は、細胞の短期増殖は促進するが、白血病細胞株のコロニー形成能を抑制することが多く、幹細胞レベルには抑制的に作用することを見い出した(論文1)。mTORシグナル阻害剤を白血病細胞の培養系に添加すると、白血病細胞のアポトーシス誘導を介した増殖抑制をきたすが、一部の細胞ではNotchシグナルを活性化することを見い出した(論文2)。Notch蛋白は幹細胞マーカーの一つであるが、白血病細胞におけるNotch蛋白の発現をフローサイトメトリー法で定量的に測定する検査法を確立し、白血病の病型によって、その発現パターンに違いがあることを見出した(論文3)。 このほか、骨髄増殖性腫瘍で見られるJAK2遺伝子変異を従来のシークエンス法ではなく、PCRを用いてより簡便に検出できる種々の検査法を開発し、その検出感度などを比較検討した(論文4)。また、白血病細胞の増殖におけるEph/EphrinシグナルやHIFシグナルの役割や、慢性骨髄性白血病の遺伝子検査において、検査間での検出感度の差異に関して得た知見を学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幹細胞を制御する種々の分子やシグナルと白血病幹細胞との関連について知見が得られてきており、また、白血病幹細胞の定量解析に関する検査法の一部も確立でき、研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初作成した研究計画と24年度までの成果をふまえて、種々のシグナルの白血病幹細胞に対する作用が、細胞株だけではなく患者由来の細胞でも認められるか否かを検討する。また、シグナル阻害薬の作用の特異性を明らかにするため、シグナル構成分子に対するsiRNAによる発現抑制でも同様の作用が得られるか否かを明らかにする。さらには、得られた知見を統合して、各症例での白血病幹細胞の特性を把握するにはどういった検査が重要であるかを検討し、その特性に対する分子標的治療薬の感受性検査法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養に必要な培地などの消耗品、シグナル活性化や抑制に関する試薬やsiRNA、その分子生物学的解析のためのPCRプライマー、イムノブロット用の抗体などを購入し、研究成果を発表する論文の別刷代にも充てる。
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