2013 Fiscal Year Annual Research Report
症例に応じた分子標的治療を目指した急性白血病幹細胞の定量と特性の検査法の開発
Project/Area Number |
23590662
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80251510)
|
Keywords | 急性白血病 / 白血病幹細胞 / 分子標的治療 / Notch |
Research Abstract |
急性白血病を治癒させるには、白血病細胞の単なる増殖抑制だけでなく、白血病幹細胞を根絶する必要がある。そのためには白血病幹細胞の特性を理解し、それに関わる分子を標的とする治療戦略が必要である。平成25年度はHIFとNotchを中心に研究を行い、以下のような成果を得た。 白血病幹細胞は骨髄の低酸素環境下に存在する。われわれは白血病細胞が通常酸素下でもHIF(低酸素誘導因子)を発現することを見出した。そこでHIFの機能を阻害する化合物であるエキノマイシンの白血病細胞に対する作用を調べた。エキノマイシンの投与は、細胞増殖を抑制しアポトーシスを誘導すること、さらには、Notchシグナルをも抑制することを見出した(論文1)。以前にNotch阻害薬は白血病細胞の増殖を抑制することを報告したが、その作用の特異性を確認するため、NOTCH遺伝子のsiRNAによるNOTCHのノックダウンの効果を調べた。NOTCHのノックダウンはNotch阻害薬と同様の抑制効果を示した。このノックダウンに伴い、mTORシグナルも抑制されることを見出した(論文2)。また、白血病細胞を低酸素下で培養すると、NotchシグナルやNFκBシグナルを抑制することを見出して米国血液学会で報告した(学会発表1)。 これまでの3年間の研究で、白血病幹細胞にNotch, Wnt, Hedgehog, mTOR, BMP4, HIFなどの分子が関与していることを見出した。これらの作用はWST-1法、コロニーアッセイ、定量RT-PCR、イムノブロットなどの検査法で明らかにでき、これらの分子に対する阻害薬が治療に応用しうる可能性を示した。これらの成果を7編の英文原著論文で報告した。
|