2012 Fiscal Year Research-status Report
悪性腫瘍細胞の薬剤感受性に及ぼすスフィンゴ脂質代謝の関与
Project/Area Number |
23590667
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村手 隆 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30239537)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40161913)
高木 明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30135371)
鈴木 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80236017)
|
Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
悪性腫瘍細胞の薬剤感受性に及ぼすスフィンゴ脂質代謝の関与のテーマの下で、具体的な研究課題として初年度に6課題を申請した。昨年度中に既にいくつかのテーマに関しては論文化を果たしたので、本年度はテーマをすこし修正して以下の3つについて集中的に解析をおこなった。 1. 抗がん剤多剤耐性腫瘍細胞におけるレスベラトロールによる酸性スフィンゴミエリナーゼ発現誘導と細胞増殖抑制効果との相関の解析 2. 前立腺がん細胞における酸性セラミダーゼのアンドロジェン依存性調節機序の解明 3. ストレス環境下での大腸がん細胞におけるスフィンゴシンキナーゼ2の発現調節機序 本年度研究実績の概要としては、 (1)については、平成24年度第74回日本血液学会総会、(2)、(3)については平成24年度第85回日本生化学会大会にて演題発表して、追加実験を行ない論文化を目指している。一方、完成した研究としては、本年度中に神経芽細胞腫細胞株SH-SY5Yに対するall trans retinoic acid (ATRA) の処理による分化過程で中性セラミデースが減少する分子機序と乳がん細胞株MCF-7におけるATRA処理により中性スフィンゴミエリナーゼの発現増加機序をそれぞれ論文化した(Tanaka et al. J Biochem, 2012, Ito H. et al. J Biochem, 2012)。さらにスフィンゴ脂質代謝酵素と腫瘍細胞の分化との関連の解析においてはフレンド赤白血病細胞株におけるSPHK1遺伝子の高発現と細胞分化過程におけるSPHK1の速やかな減少とその機序を解析し、Biochim Biophys Acta Molecular Cell Researchに受理された(Mizutani et al. BBA 平成25年1月3日付け)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に取り組んできた主要なテーマの3つともですでに一度目の学会発表を行ない、その場で質疑を行った専門家の意見を入れて必要な追加実験が明らかとなり、それを現在鋭意勧めている状況である。 特に(1),(2) については、後少しで論文作成に入る段階まで来ている。 (3) についてはSPHK2遺伝子発現調節機序の解析に重要なプロモーターアッセイが、主に解析を進めている血清除去条件下ではうまく出来ない事が明らかとなったので、現在は血清除去下での候補となる転写因子の発現の継時的変化を見つつ、各候補転写因子の発現ベクターの導入によるSPHK2レベルの推移を見ている。まだ、候補転写因子が完全には絞り込まれていないので、今しばらくこの方面での探索が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 抗がん剤多剤耐性腫瘍細胞におけるレスベラトロールによる酸性スフィンゴミエリナーゼ発現誘導と細胞増殖抑制効果との相関の解析 2. 前立腺がん細胞における酸性セラミダーゼのアンドロジェン依存性調節機序の解明 の2テーマに関しては追加実験を行ない早期の論文化、投稿、受理を目指す。 3. ストレス環境下での大腸がん細胞におけるスフィンゴシンキナーゼ2の発現調節機序のテーマに関しては上記達成度説明の理由で述べたごとく、血清除去培養条件で1、2の転写因子に解析の焦点を絞り込む事が出来れば、転写因子の結合状態をElectrophoresis Mobility Shift Assay, Chromatin Immunoprecipitation Assay等を用いて解析し、さらに核内でのSPHK2の酵素活性の産物であるS1PをLC-MS/MSを用いて測定して、その過剰発現の意義と分子機序の解明を行なう予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度およびその翌年度の研究費の使途は、当初の申請書に記載した通りほぼすべて実験に必要な消耗品費として支出する。細胞の培養、遺伝子導入、プロモーター活性の測定にかかる試薬等は、本年度購入したものの残りでもまかなえるため、初年度分よりは予算が減額されるが、おおむね次年度支給される予算額で実験をまかなう事が出来ると判断している。
|
-
[Journal Article] Transcriptional regulation of neutral sphingomyelinase 2 in all-trans retinoic acid-treated human breast cancer cell line, MCF-72012
Author(s)
Ito H, Tanaka K, Hagiwara K, Kobayashi M, Hoshikawa A, Mizutani N, Takagi A, Kojima T, Sobue S, Ichihara M, Suzuki M, Tamiya-Koizumi K, Nakamura M, Banno Y, Nozawa Y, Murate T
-
Journal Title
J Biochem
Volume: 151(6)
Pages: 599-610
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-