2012 Fiscal Year Research-status Report
縦断的継続診療によるアルツハイマー病及び軽度認知機能障害病態バイオマーカーの確立
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23590669
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 明 同志社大学, 研究開発推進機構, 研究員 (80181759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武地 一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10314197)
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Keywords | バイオマーカー |
Research Abstract |
1.臨床情報と臨床検体のの管理・分析 前年度に集積された臨床情報(健常高齢者、軽度認知機能障害高齢者、認知症高齢者)の分析から、バイオマーカーを用いた解析に適合する検体(血漿および髄液)を選択した。特に病態群については、その発症に及ぼす脳血管性異常の寄与度を画像診断所見、生活習慣病に関る検査所見等から予め想定した。また、ピック病、レヴィー小体病等他の脳変性疾患の可能性のある例は積極的に除外した。 2.タウ分子内立体構造特異的モノクロナル抗体の作成と、臨床検体への応用 基礎的解析からヒトタウ分子の生理的エンドプロテアーゼ(カルパイン類等)切断部位(TC-3)の立体構造を特異的に認識するラットモノクロナル抗体(脾骨細胞法による)を複数クローン精製した。 これらを上記検体のうち選択された髄液検体(全て健常高齢者由来)について初期的検討を行ったところ、1クローン(TC-3c)のみが交差反応性を示した。この交差反応性は抗原に対する各クローンの反応程度から判断して、合理的ではあったが、希釈しない髄液原液を使用していることから、感度の点でこのままの実用化は困難と判断した。本年度の以降の解析は、抗体感度の向上および髄液検体の前処理の検討に費やしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究進捗状況が当初の予定より遅延している理由は、主に研究成果から確認されたバイオマーカー候補分子に対して作成したモノクロナル抗体の臨床倦怠に対する感度が十分で無いことによる。 更に感度が十分に高くない理由として、作製対象が当該抗原の立体構造に対してであり、スクリーニングした抗体クローン数が未だ十分で無いことに起因している可能性がある。また先ず解析対象としている検体は髄液であり、アッセイに当たって検体の前処理が必要である可能性がある。具体的には髄液中のメジャー蛋白(アルブミン、グロブリンなど)の除去操作、および微量蛋白・ペプチドの相対濃度を上げるための濃縮操作などを検討する余地がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当該バイオマーカー候補分子として、現時点で上記のTC-3以外に複数のタウ分子内立体構造があり、タウ以外の分子についても今後同定される可能性が高い。従って今後の研究推進プロセスでは抗原同定・解析、抗体作成、そしてアッセイ系の至適化と評価等を同時並行的に実施する必要性が生じてきた。 従って25年度の研究については、当初の研究計画での候補分子の探索解析の研究と抗体作成をさらに継続して行う。 但し研究経費の効率的使用と、期間内も目標達成のため、臨床情報と検体の集積と評価は25年度前半には完了する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究推進方策の変更に基づき、24年度経費の残余分を25年度経費に移行し、さらに当初の25年度経費からの残余分を26年度経費に移行させる予定である。 25年度ではTC-3以外の標的分子に対する抗体作成とTC-3の髄液評価系の確立が主たる研究内容となり、その研究費は上記以降により対応することができる。
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Research Products
(2 results)