2013 Fiscal Year Annual Research Report
イムノクロマト法によるシトリン欠損症迅速簡便診断法の開発と臨床応用
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23590680
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
飯島 幹雄 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00305111)
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Keywords | イムノクロマト法 / ミトコンドリア / アスパラギン酸・グルタミン酸輸送体 |
Research Abstract |
ヒトの高アンモニア血症の一つである成人発症II型シトルリン血症の原因遺伝子産物シトリンの欠損は、新生児期において特異な新生児肝炎を引き起こす。この肝炎は、生後1年以内に見かけ上消失するが、肝移植を必要とする症例も存在する。さらに、成人期において、何らかの機構により成人発症II型シトルリン血症を発症すると考えられる。新生児期のシトリン欠損症の診断には、濾紙血からの遺伝子診断が重要であるが、約10%の患者を補足することができない。遺伝子診断を補完するものとして、シトリンタンパク質の検出も、生検肝、末梢血、初代培養線維芽細胞を対象におこなってきた。しかし、患者への負担や、検出までに多くの時間と手間がかかるため、その利用はあまり進んでいない。そこで、シトリンタンパク質を検出する迅速簡易診断法を確立し、診断や遺伝学的研究に活用することを目的とする。これにより、通常の高アンモニア血症の治療戦略である低タンパク質高糖質食摂取やグリセオール投与が、シトリン欠損症においては症状が改善せず、かえって悪化させ死に至る場合があるという問題に、簡便で迅速な診断手段を提供することができ、近年明らかになったシトリン欠損症に対する治療戦略を患者が明確に受けることができるという、患者にとって大きな利点を提供することができる。 本年度は、ポリクロナール抗体の作製と選択をおこなった後、作製したイムノクロマト検出系の性能評価を行った。また、シトリンタンパク質に対するモノクロナール抗体を5種作製した。その結果、ポリクロナール抗体のみを使用したイムノクロマト検出系では、擬陽性の出現を押さえることができなかった。各種界面活性剤の使用により、シトリンタンパク質の可溶化には、一定の成功を納めたが、擬陽性の問題が残った。新たに作製したモノクロナール抗体の併用によるイムノクロマト検出系の確立には、さらに検討する必要がある。
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