2011 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティクスを利用した新規胃癌リスクマーカーの開発
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23590682
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
前北 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10326358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 雅夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50143425)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エピジェネティック / メチル化 / 胃癌 |
Research Abstract |
胃癌発生に関して、胃癌多発地域のメインルートと考えられているatrophy-metplasia- cancer sequenceの過程でのエピジェネティックな現象の一つであるDNAメチル化異常に着目し、検討を行った。す胃粘膜DNAのメチル化変化を検討し、胃発癌リスクを反映する事が、想定される遺伝子領域を検索する。一般に、H.pylori感染者は非感染者の2.2~21倍の胃癌リスク上昇があると報告されている(Correa P. et al:Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 14: 1865-1868, 2005 )が、その発癌メカニズムの詳細は依然として不明であり、特にepigeneticな変化についての検討は緒に付いたばかりである。現在、除菌療法の胃癌発生抑制効果が報告されているが、除菌前後におけるヒト胃粘膜のDNAメチル化について癌抑制遺伝子領域を中心に経時的に測定し、H.pylori感染のメチル化に及ぼす影響を検討すことを目的としている。本年は、胃癌およびいろいろな程度の萎縮性胃炎患者の内視鏡検査による生検検体の収集を精力的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はもっとスムーズな検体の収集を予想していたが、同意を得て検査に移行できる方が予想に反して少なめであった。そのためそちらに注力するあまり、胃癌リスクマーカーの候補を検討するのに十分な時間が確保できなかったため、全体としてやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに採取した内視鏡胃粘膜検体を精力的に処理、解析していく予定である。申請者らが、これまでに明らかにしたCDKN2A, HAND1のプロモーター領域をはじめとする胃発癌に伴うメチル化変化部位、8遺伝子領域に関して、胃癌発生リスクマーカーとしての意義を検討するために、これら遺伝子領域のメチル化レベルと胃粘膜病理組織所見(特に、胃炎の活動度、胃粘膜萎縮・腸上皮化生の有無)との関連、胃発癌の各段階、特にH.pylori感染症の進展、除菌との関連について詳細な検討を行う予定である。本研究項目で対象とする遺伝子領域としては、(1)がん抑制遺伝子の発現調整に重要なプロモーター領域CGI中心部(core)として、CDKN2A、hMLH1、LOX、CDH1がん関連遺伝子以外のプロモーター領域CGI中心部として、THBD、FLNc、 HRASLS、HAND1遺伝子 (2)がん抑制遺伝子の発現には直接関与しないプロモーター領域CGI辺縁部(non-c)として、CDKN2A、hMLH1、CDH1遺伝子、がん関連遺伝子以外のプロモーター領域CGI辺縁部として、THBD遺伝子 (3)非プロモーター領域CGIとしてp41-ARC遺伝子を用いて解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
検体処理のための試薬及び必要に応じて解析ソフトを購入する予定である。検体の処理が追いつかない場合は、研究補助員を雇用する予定である。
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