2011 Fiscal Year Research-status Report
ADMA化タンパク質代謝系を標的とする脳神経疾患関連因子の探索と作用機構の解明
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23590683
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
木本 真順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 吉孝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10236333)
山本 登志子 (鈴木 登志子) 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (60301313)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ADMA / 翻訳後修飾 / アルギニンメチル化タンパク質 / NOS阻害剤 / 中枢神経系 |
Research Abstract |
本研究全体の目的は、中枢神経系におけるADMA化タンパク質の産生から遊離型ADMAの産生に至る代謝経路の実体とメカニズムを明らかにし、最終的には老化に伴う脳疾患の関連因子を見つけ出すことである。 平成23年度においては、(1)ラット脳組織におけるADMA代謝系の存在を立証すること、ならびに(2)脳組織におけるADMA化タンパク質を同定し、in vitroにおけるアルギニンメチル化を実証することの二課題を計画・実施した。得られた結果を以下に報告する。 まず、一つ目の課題では、中枢神経系におけるADMA代謝関連酵素(PRMT1およびDDAH1)の発現細胞を同定し,NO産生細胞との組織学的連関について解析した。ウエスタンブロット法により、両酵素は中枢神経系において広く発現していることが明らかとなった。この情報をもとに,脊髄,大脳皮質,海馬,視床,視床下部について詳細な免疫組織化学的観察を行い,神経型NOS(nNOS)との組織学的連関についても解析した。脊髄において,PRMT1およびDDAH1は灰白質に広く分布し,両酵素は脊髄運動ニューロンならびに介在ニューロンにおいても共存が認められた。脳における免疫組織化学的解析では,これら酵素は脳の神経細胞に広く発現し,特に大脳皮質や視床下部においては,nNOSと高い割合で共存した。以上の結果は,中枢神経系でのPRMTとDDAHの共存を初めて明らかにし,nNOSとの形態学的連関性からADMAの代謝系がnNOS調節に重要であることを裏づけるものである。 二つ目の課題では、全脳組織抽出液の二次元電気泳動/ウエスタンブロット解析において特定されたスポットをMALDI-TOF MS分析によりPMF解析した結果、中枢神経系において重要な役割を果たしている2種のタンパク質が同定され、今後の研究のターゲットを定めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的の達成度は80%と自己評価する。 一番目の課題については、問題なく達成できたが、(2)の課題において同定されたADMA化タンパク質の組換え型タンパク質の大腸菌における発現系構築に時間を費やし、まだ組換えタンパク質を精製できていない。したがって、in vitroでのアルギニンメチル化反応による解析結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の実験において、本研究を大きく推進させる新規な事実を見いだすことができた。すなわち、中枢神経系におけるシナプス可塑性や記憶・学習能力に関係すると言われている プロテインX(仮称)がアルギニンメチル化(ADMA化)されている可能性を見いだしたことである。したがって、本タンパク質のアルギニンメチル化と中枢神経系における生理機能の連関を解析することが平成24年度の実施計画の中心となる。具体的項目を以下に列記した。1.プロテインX のアルギニンメチル化システムの解析:まず、本タンパク質の全長ならびにペプチドフラグメントの組換え型タンパク質を大腸菌にて発現させ、得られたそれぞれの組換え型タンパク質を基質とするアルギニンメチル化反応をin vitroにて実施し(タンパク質アルギニンメチル化酵素であるPRMT1および補基質の[3H-methyl]-SAMを用い、組換え型タンパク質への3H の取り込みにより解析)、ADMA 化されたアルギニン残基を決定する。2.プロテインX のアルギニンメチル化が神経細胞機能に与える影響についての検討:siRNA法によりPRMT1をノックダウンした神経細胞を作製し、プロテインX のアルギニンメチル化レベルと神経細胞機能の連関性を解析する。3.脳組織におけるADMA化プロテインX の分解様式の同定:1.の成果に基づいて、組換え型プロテインX 、PRMT1および[3H-methyl]-SAMを用いて、[3H-methyl]で標識されたADMA化プロテインX を合成する。この合成基質と脳組織抽出物、その他補因子の存在下でインキュベートし、放射活性代謝物を同定することによって、どのような代謝系が存在するのかを精査する。本課題の解決が研究全体の目的達成を左右するものと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「収支状況報告書」において「次年度使用額」が918,691円となった。この研究費の生じた状況としては、「現在までの達成度」の項で述べたとおり、平成23年度に計画していた実験がやや遅れぎみであったことによる。すなわち、「今後の研究の推進方策」の最初に記載した実験項目が実施できず、(1)これに必要な高価なアイソトープ試薬、[3H-methyl]-SAMを購入しなかったこと、(2)アイソトープ実験(実験施設の関係上徳島大学にて実施予定)を行うために計上していた旅費および謝礼金の支出がなかったことが上げられる。平成24年度は、実験の遅れを取り戻すためにも平成24年度の交付申請額120万円とともに918,691円(合計 2,118,691円)を使用する予定である。その支出内訳を以下に示す。物品費:1,568,691円、旅費:40万円(国内;10万円、海外;30万円、)、謝金:10万円、その他:5万円
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Gastrointestinal digestion and absorption of Pen j 1, a major allergen from kuruma prawn, Penaeus japonicus.2011
Author(s)
Kunimoto A, Yokoro M, Murota K, Yamanishi R, Suzuki-Yamamoto T, Suzuki M, Yutani C, Doi S, Hiemori M, Yamashita H, Takahashi Y, Tsuji H, and Kimoto M.
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Journal Title
Biosci. Biotechnol. Biochem.
Volume: 75
Issue: 7
Pages: 1249-1258
Peer Reviewed
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