2012 Fiscal Year Research-status Report
ADMA化タンパク質代謝系を標的とする脳神経疾患関連因子の探索と作用機構の解明
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23590683
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
木本 真順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 吉孝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10236333)
山本 登志子(鈴木登志子) 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (60301313)
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Keywords | ADMA / 翻訳後修飾 / アルギニンメチル化タンパク質 / NOS阻害剤 / RPS2 / COXII |
Research Abstract |
平成24年度においては、 前年度の結果を受けて(1)プロテインXのアルギニンメチル化システムを解析すること、(2)プロテインX のアルギニンメチル化が神経細胞機能に与える影響についての検討、ならびに(3)脳組織におけるADMA化プロテインX の分解様式の同定の3課題を計画していたが、(1)の実験結果において、プロテインXがADMA化されている可能性が低くなった。そこで急遽、実験手法の改善を行い、新しくADMA化タンパク質の特定、同定することから始め、以下の結果を得た。 1.ラットの全脳組織抽出液の二次元電気泳動(Blue-Native /SDS-PAGE)後のウエスタンブロットにおいて特定されたスポットをMALDI-TOF MS分析によりPMF解析した結果、40S ribosomal protein subunit2-like protein (RPS2)であると同定した。本タンパク質は、40S リボソームを構成するペプチドの一つであることから、そのアルギニンメチル化がタンパク質の翻訳過程に与える影響について解明することは、その成果がタンパク質の代謝回転を理解する上で貴重な情報を与えることとなり、次の大きな研究課題となる。 2.1.の実験と並行して、若齢マウスと老齢マウスの脳(海馬)において変化するADMA化タンパク質について検索した。 その結果、老齢マウスにおいて、有意にシグナルの低い24-kDa タンパク質を見いだし、解析した結果、それはcytochrome c oxidase subunit II (COXII)と同定された。本タンパク質は、ミトコンドリアにおける呼吸鎖酵素であり、その活性の低下と脳の変性疾患との関連性を示唆する報告がなされている。したがって、COXII のADMA化レベルとその活性の関係が解明されれば、本研究の目標達成に限りなく近づくことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目的の達成度は80%と評価する。 研究実績の概要のところでも述べたように、当初の実験計画を大きく変更したため、平成24年度の当初の目的は全く達成できなかった。しかし、実験方法の改善により、ADMA化タンパク質として、中枢神経系機能にとって重要なタンパク質が同定されたことにより、本研究課題全体の目標達成に大きく近づくことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実験において、 本研究課題の目的を達成するためのターゲットタンパク質が明確になった。一つ(RPS2)は、40S リボソームを構成するペプチドの一つであり、タンパク質の翻訳過程に係る因子であり、他の一つ(COXII)は、ミトコンドリアにおける呼吸鎖に関与する酵素である。いずれも、生命の根幹に係るタンンパク質ゆえに、そのアルギニンメチル化とそれら分子の中枢神経系における機能性との関係を明らかにすることは、老化に伴う脳機能減衰の原因解明さらには脳機能改善への道につながるものと期待される。したがって、最終年度は以下に列記した項目を順番に遂行する予定である。 1.COXIIのアルギニンメチル化システムの解析:RPS2については、そのN末端にあるGARモチーフのアルギニン残基がPRMT3によりメチル化されることが分かっているが、COXIIについては全く情報がない。そこで、まずCOXIIの全長ならびにペプチドフラグメントの組換え型タンパク質を大腸菌にて発現させ、得られたそれぞれの組換え型タンパク質を基質とするアルギニンメチル化反応をin vitroにて実施し(タンパク質アルギニンメチル化酵素であるPRMT1(あるいはPRMT3)および補基質の[3H-methyl]-SAMを用い、組換え型タンパク質への3H の取り込みにより解析)、ADMA 化されたアルギニン残基を決定する。 2.RPS2およびCOXIIのアルギニンメチル化が神経細胞機能に与える影響についての検討:siRNA法によりPRMT1およびPRMT3をノックダウンした神経細胞を作製し、RPS2およびCOXIIのアルギニンメチル化レベルと神経細胞機能の連関性を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、ほぼ計画どおりの経費の使用状況であった。平成25年度は、交付申請額80万円とともに前年度の繰越額(46,740円)を合計した846,740円を以下の支出内訳に従って使用する予定である。 物品費:746,740円、旅費:5万円(国内学会発表)、人件費・謝金:5万円、その他:0円
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] The hydrolase DDAH2 enhances pancreatic insulin secretion by transcriptional regulation of secretagogin through a Sirt1-dependent mechanism in mice2013
Author(s)
Hasegawa K, Wakino S, Kimoto M, Minakuchi H, Fujimura K, Hosoya K, Komatsu M, Kaneko Y, Kanda T, Tokuyama H, Hayashi K, Itoh H
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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