2011 Fiscal Year Research-status Report
血液細胞における糖鎖を含む抗原の発現解析と細胞機能及び病態との関係の解明
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23590686
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
室井 一男 自治医科大学, 医学部, 教授 (50190939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 千鶴 自治医科大学, 医学部, 助教 (60306149)
藤原 慎一郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (20438667)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 抗原発現 / 悪性リンパ腫 / CD25 / 芽球 / 造血回復 |
Research Abstract |
主に2つの研究を精力的に行った。過去のflow cytometryのデータを検討し、びまん性大細胞型B細胞性リンパ(DLBCL)にCD25を発現する(CD25+DLBCL)例があることを見いだした。DLBCLにおけるCD25の意義について検討した。脳原発DLBCLや中枢神経に浸潤したDLBCLで、CD25の陽性率が高く、DLBCLはろ胞性リンパ腫よりCD25陽性率が高かった。2重染色によって、DLBCLにおけるCD25は、CD19及びCD20陽性のリンパ腫細胞に発現しており、残存する調節性T細胞による発現ではないことを確認した。CD25の陽性率が60%以上の場合をCD25+DLBCL high、60%未満の場合をCD25+DLBCL lowと2群に分けて検討した。前者の方が、B症状が多いこと、寛解率に両者で差が無いが、前者の方が再発率が高いことが判明し、DLBCLにおけるCD25は予後因子となることが示唆された。今後、CD25を発現しているDLBCL由来の細胞株を用いて、CD25の発現と増殖シグナルとの関係を明らかにする。骨髄異形成症候群の不応性貧血(MDS-RA)は不均一な疾患であり、予後を推測する指標が無かった。過去のflow cytometryのデータを検討したところ、骨髄の芽球分画において、CD33陽性骨髄芽球が増加しCD10陽性B前駆性リンパ芽球が減少すると病勢が進展することを見いだし、CD33/CD10比のカットオフ値を20に設定することによって、予後不良(20以上)と予後良好(20未満)に二分できることを見いだした(J Clin Exp Hematopathol 印刷中)。慢性肉芽腫症が疑われた患者の末梢血顆粒球における抗原を検討したが、phosphatidylglucosideを含む細胞表面抗原に異常を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私が統括している輸血・細胞移植部には、日常診療としてflow cytometryを用いて造血器腫瘍細胞の表面抗原検査を行っており、過去30年間のデータが蓄積されている。先ず、このデータを元にB細胞性リンパ腫におけるCD25の発現と骨髄異形成症候群(MDS)の骨髄細胞の芽球分画の性状を解析した。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)の一部で、CD25を発現していることを見いだし、CD25陽性DLBCLはDLBCLの1亜型である可能性を初めて明らかにすることができた(自治医科大学疫学調査11-55号)。研究成果の内容を英文にまとめ、現在英文誌に投稿中である。MDSの不応性貧血(MDS-RA)については、当部の過去データを検討し、骨髄中の芽球分画に含まれる骨髄芽球とB前駆細胞リンパ芽球の割合によって、予後が推定できることを見いだしたが、その成果はJ Clin Exp Hematopatholで紙上発表されることになっている。造血回復と顆粒球によるCD56発現については、現在データをまとめる作業を行っている。好中球におけるphosphatidylglucosideの発現と疾患との関係を予備的に検討したが、好中球におけるphosphatidylglucosideの発現に変化を認めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が順調に進んでいるB細胞性リンパ腫におけるCD25の発現については、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)以外のB細胞性リンパ腫でのCD25の発現を検討する。特に、ろ胞性リンパ腫におけるCD25の発現を検討する。DLBCLにおけるCD25の発現を、免疫染色を用いて確認する。DLBCL由来のCD25陽性B細胞性リンパ腫細胞株とCD25陰性のB細胞性リンパ腫細胞株を用いて、両者の遺伝子発現プロファイリングに差があるか検討する。DLBCLの増殖におけるCD25の意義を、CD25陽性DLBCL由来細胞株を用いて検討する。CD25陽性のDLBCL細胞株を用いて、抗CD25抗体がDLBCL細胞の増殖を抑制するか検討する。造血回復と顆粒球におけるCD56の発現に関しては、造血の回復過程で、通常は発現しないCD56が顆粒球に一過性に発現されることを、当部のflow cytometryの過去データから検証する。健常ヒトの臍帯血から分離したCD34陽性細胞を、サイトカイン存在下に液体培養し顆粒球に分化させる。顆粒球への分化の過程で、一過性にCD56が発現するか検討する。顆粒球に発現するCD56と神経細胞に発現するCD56が同じであるか、ウエスタンブロット等を用いて検討する。骨髄異形成症候群と慢性骨髄性白血病以外の骨髄増殖性疾患における骨髄の芽球分画の性状が、疾患の進行と関係があるか検討する。phosphatidylglucosideに関しては、白血病や悪性リンパ腫等の血液疾患由来の細胞株を用いてphosphatidylglucosideの発現を検討し、細胞増殖や分化とphosphatidylglucoside発現との関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
flow cytometryに用いるモノクローナル抗体、細胞培養に用いる牛胎児血清、細胞の増殖と分化を刺激する各種増殖因子とサイトカイン、遺伝子プロファイリング検査に用いる各種試薬、CD34陽性細胞の分離に用いる磁気ビーズを、研究の進展を踏まえ順次購入する。
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Research Products
(2 results)