2012 Fiscal Year Research-status Report
血液細胞における糖鎖を含む抗原の発現解析と細胞機能及び病態との関係の解明
Project/Area Number |
23590686
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
室井 一男 自治医科大学, 医学部, 教授 (50190939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 千鶴 自治医科大学, 医学部, 助教 (60306149)
藤原 慎一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (20438667)
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Keywords | 抗原発現 / 悪性リンパ腫 / 骨髄異形成症候群 / 慢性骨髄性増殖性疾患 |
Research Abstract |
flow cytometryの結果をもとに、B細胞性リンパ腫におけるCD25陽性率を検討した。解析に当たり当院の倫理委員会の承認を得た(「細胞表面マーカーを用いた悪性リンパ腫の臨床的検討」、平成24年3月30日承認、疫11-55 号)。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)細胞をCD25とCD19、CD20で二重染色したところ、CD25陽性DLBCL細胞は、CD19陽性かつCD20陽性であった。DLBCLのCD25陽性率を20%未満、20-60%、60%以上の3群に分け生存率を比較すると、生存率は20%未満、20-60%、60%以上の順に低下した。そこで、CD25陽性率が60%未満をCD25-low、60%以上をCD25-highに分け検討した。CD25-high DLBCLは、R-CHOPに対する治療反応性が悪いこと、無増悪生存率が低下することが判明し、CD25はDLBCLの予後因子となることが示唆された。 骨髄異形成症候群で、1系統の異形成を伴う不応性血球減少(Refractory cytopenia with unilineage dysplasia)の予後を事前に予想する指標は知られていない。この病型のflow cytometryの結果を後方視的に解析した。病期が進展しない例では、初診時、骨髄のB細胞性芽球が多く骨髄芽球が少なく、健常人の骨髄の芽球構成に類似することを見いだした。 Phosphatidylglucosideにはついては、スクリーニングとしてPhosphatidylglucoside欠損した白血球を検索したが、その様な症例が見られなかった。成人発症型慢性肉芽腫症の白血球では、Phosphatidylglucosideの発現は保たれているが、CD10の発現が低下することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
B細胞性リンパ腫におけるCD25発現の意義については、順調に研究が進んだ。研究成果は、日本血液学会総会(Fujiwara S, Muroi K, et al. Clinical features of de novo CD25(+) diffuse large B-cell lymphoma. )と米国血液学会で(Fujiwara S, Muroi K, et al. Clinical features of newly diagnosed CD25-positive follicular lymphoma.)で発表した。学会で発表した内容を、Hematology誌に論文を発表した(Fujiwara S, Muroi K, et al. Clinical features of de novo CD25(+) diffuse large B-cell lymphoma.)。 骨髄異形成症候群の中の1系統の異形成を伴う不応性血球減少について、骨髄の芽球の性状と予後との関係を明らかにし、J Clin Exp Hematop誌に発表した(Oka S, Muroi K, Fujiwara S, et al. Prediction of progression from refractory cytopenia with unilineage dysplasia by analysis of bone marrow blast cell composition.)。
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Strategy for Future Research Activity |
B細胞性リンパ腫におけるCD25の発現については、ろほう性リンパ腫とマントル細胞リンパ腫でCD25陽性例が存在することを見いだしたので、これらのリンパ腫におけるCD25発現の意義を検討する。CD25陽性のB細胞性リンパ腫細胞株とCD25陰性のそれとを、遺伝子プロファイリングを用いて比較検討し、mRNAの発現の違いを検討する。CD25陽性B細胞性リンパ腫にIL-2を加え、細胞の増殖と分化を検討する。この研究に付随して、最近CD11bがB細胞性リンパ腫の一部に発現することを見いだした。CD11bは、接着因子で単球マクロファージ系の細胞に発現する。B細胞性リンパ腫におけるCD11bの意義を検討する。 慢性骨髄性増殖疾患の中で、真性多血症と特発性血小板血症の骨髄の芽球の性状は、詳しく調べられていない。flow cytometryの結果を後方視的に解析し、慢性骨髄性白血病の骨髄の芽球と真性多血症と特発性血小板血症の骨髄の芽球の違いを検討する。 造血幹細胞移植後の回復期、好中球系細胞に一過性にCD56が発現することを見いだしている。得られたデータを解析し、回復期の好中球系細胞におけるCD56発現の意義を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)