2011 Fiscal Year Research-status Report
新種非定型抗酸菌の同定と抗菌薬耐性化のメカニズムの解明
Project/Area Number |
23590688
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
松島 早月 杏林大学, 医学部, その他 (80231596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 弘毅 杏林大学, 医学部, 助教 (70439165)
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 准教授 (80291326)
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Mycobacterium kyorinense / 非定型抗酸菌 / 薬剤耐性 / 同定不能菌 |
Research Abstract |
23年度は、研究計画に基づき、以下の研究を実施した。【1】Mycobacterium kyorinenseおよびその近縁種の耐性・感染性についての検討我々がM. kyorinenseを同定して以来、M. kyorinense感染症の報告が国内で相次ぎ、現在すでに8菌株を入手できた。また、近縁種であるM. celatum (type 1&2), M. branderiの菌株、およびその他20種類の非定型抗酸菌の菌株を、各種の細胞バンクから購入した。これらの菌株について、各種抗菌薬に対する感受性試験を行い、抗菌薬感受性についての結果を得た。同時に、これらの菌株からDNAを抽出し、結核菌その他の抗酸菌で耐性化に関与することが報告されている20種類程度の遺伝子について、塩基配列の決定を行う作業を現在継続中である。そのうち、リファンピシン耐性に関与するとされるrpoB遺伝子については、M. kyorinense、M. celatum, M. branderiについて全塩基配列が決定でき、これらのリファンピシン耐性にrpoB遺伝子の特異的な変異が関与することが明らかとなった。この結果について、近く論文として公表する予定である。その他の遺伝子についても、現在検討を進めている。【2】新規・希少非定型抗酸菌の同定院内における呼吸器感染患者の上・下気道検体の抗酸菌培養については、院内の関係部署との連携の構築に時間を要し、現在調整中であるが、近々実施に移す予定である。一方、現在これらの検体の抗酸菌培養は、外部の検査会社に委託しているが、この外部検査会社の協力を得て、同定不明菌についての情報を得ている。現在のところ、当院から提出された検体中、既存の菌と一致しない不明菌は検出されていない。そのため、今後は抗酸菌培養の範囲を増やし、一方で培養条件の変更等により新規抗酸菌の同定が行えるよう計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
達成度Mycobacterium kyorinenseおよびその近縁種の耐性・感染性についての検討については、M. kyorinenseの菌株を8株を入手できたことは、予想外の成果であった。また、その他の非定型抗酸菌の菌株について、感受性試験や薬剤感受性遺伝子についての検討は順調に進行しており、特にrpoB遺伝子については、論文として公表できるような結果がすでに得られている。一方、新規・希少非定型抗酸菌の同定については、現在のところ、既存の菌と一致しない不明菌は検出されておらず、抗酸菌培養の範囲の拡大や、培養条件の変更等により新規抗酸菌の同定が行えるよう計画中である。このように、前者については、期待以上の成果が得られているが、後者についてはまだ期待通りの結果が得られていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Mycobacterium kyorinenseおよびその近縁種の耐性・感染性についての検討については、予定通り他の薬剤耐性遺伝子についての検討を進める。また、rpoB遺伝子の成果については、すでに論文がほぼ完成しており、投稿の予定である。新規・希少非定型抗酸菌の同定については、院内での培養体制の構築を目指す一方、抗酸菌培養の範囲の拡大や、培養条件の変更等により新規抗酸菌の同定が行えるよう計画中である。さらに、Mycobacterium kyorinenseが予想外に広く認められる病原菌であったことから、マウスへの感染実験についても積極的に進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は0円である。
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