2014 Fiscal Year Annual Research Report
新種非定型抗酸菌の同定と抗菌薬耐性化のメカニズムの解明
Project/Area Number |
23590688
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
松島 早月 杏林大学, 医学部, 実験助手 (80231596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 弘毅 杏林大学, 医学部, 助教 (70439165)
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 准教授 (80291326)
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 非結核性抗酸菌 / mycobacterium kyorinense / mycobacterium celatum / 全ゲノム解析 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
<最終年度の研究成果> 26年度は、Mycobacterium kyorinenseの基準株について、ION PGMシステムを用いて全ゲノム解析を行った。全長約530万塩基対、G/C比は66.9%で、他の抗酸菌同様に高いG/C比が認められた。RASTサーバーによる機能解析予測では、5351個の蛋白質をコードする遺伝子と46個のrRNA, および8個のtRNAをコードする遺伝子が同定された。薬剤耐性遺伝子について解析したところ、rpoB遺伝子配列はこれまでの解析結果と完全に一致し、結核菌同様にS531D置換が本菌のリファンピシン耐性に関与している可能性が示唆された。一方、エタンブトール耐性に関与するとされるembB遺伝子や、イソニアジド耐性に関与するとされるkatG, ahpC, およびinhA遺伝子では、結核菌で高頻度に認められる変異は見られず、別の耐性機構が関与している可能性が高いと考えられた。 <補助期間全体での研究成果> 本研究では、M. kyorinenseの菌株の収集を行い、14株を入手した。これらについて遺伝子解析を行ったところ、rpoB, hsp65については解析した範囲で全例が一致していたが、16S rRNA遺伝子では一部の塩基に多型が認められ、種内でのheterogeneityの存在が明らかとなった。一方、近縁種であるM. celatumおよびM. branderiについても同様の遺伝子解析を行った結果、M. celatumの2型がこれらの遺伝子配列でM. kyorinenseと完全に一致することが判明した。M. celatum の1・3型ではM. kyorinenseとかなりの差異が認められることから、M. celatumの2型はM. kyorinenseに再分類されるべきであることを提唱し、専門誌にその結果を公表した。また、M. kyorinense基準株の全ゲノム解析により、抗菌薬耐性機構が結核菌と大幅に異なることが明らかにされた。
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