2011 Fiscal Year Research-status Report
悪性中皮腫におけるATBF1の細胞内動態解析と癌幹細胞マーカー発現の有無
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23590692
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
湊 宏 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10293367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 聡子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30569091)
竹上 勉 金沢医科大学, 付置研究所, 教授 (10113490)
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90285198)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ATBF1 / 癌抑制遺伝子 / 免疫組織化学 / 細胞内局在 / 蛋白分画 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子ATBF1の細胞内局在と、悪性中皮腫(以下中皮腫)の発生・浸潤との関連性を検索する目的で、ATBF1蛋白のそれぞれ別部位を認識する複数の抗体で免疫染色を行った。 用いた抗体はMB039、MB043、MB047、MB049で、39は最もN末端側に近く、49はC末端側に近い。43は中央部分に近く、47は43と49の中間的な位置の蛋白を認識する。約20例ずつの中皮腫症例と良性病変から得られた反応性中皮を対象とした。 中皮腫では、39:細胞質>核8/23(35%)、核>細胞質9/23(39%)、細胞質のみ6/23(26%)で、43:細胞質>核5/24(21%)、核>細胞質14/24(58%)、細胞質のみ5/24(21%)、47:細胞質>核5/22(23%)、細胞質のみ17/22(77%)、49 :細胞質のみ22/22(100%)。反応性中皮では、39:細胞質>核5/15(33%)、核>細胞質4/15(27%)、細胞質のみ6/15(40%)で、43:核のみ15/18(83%)、核>細胞質3/18(17%)、47:細胞質>核2/10(20%)、細胞質のみ8/10(80%)、49 :細胞質のみ10/10(100%)であった。49がすべて細胞質に陽性を示し、中央部分の43が最も高率に核内陽性像を示した。反応性中皮では43が細胞質優位を示すものや細胞質のみに陽性を示すものはみられなかった。39と43の局在は一致する例が多かったが、39がむしろ細胞質内陽性像が優位な症例がみられた。反応性中皮の染色性は、全体的に中皮腫症例より弱かった。 これらの結果より、ATBF1の存在形式としては(1)核内から細胞質にかけて存在する、あるいは(2)断片化し、核内に存在する部分と細胞質内に存在する部分がある、等の可能性が考えられる。とくに蛋白中央部分に核内存在因子が存在する可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、悪性中皮腫における癌幹細胞の探索とATBF1発現との関連性も探る予定であったが、ATBF1の各種抗体の適正条件の決定に時間を要してしまった。一部の癌幹細胞の免疫組織化学については既に行っているが、結果の十分な解析は行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、良性、悪性症例ともにさらに症例の収集に努める。また組織切片から中皮腫細胞と良性中皮細胞のマイクロダイセクションを行い、ATBF1mRNAの発現量を調べる。また中皮腫培養細胞を用い、蛍光抗体法あるいは免疫染色を行うとともに、核内分画と細胞質内分画を抽出し、それぞれの分画において各ATBF1のウエスタンブロットを行い、免疫染色の結果との相同性を確認する。また培養細胞において、siRNA投与により、ATBF1の局在の変化の有無を観察する。悪性中皮腫細胞で、癌幹細胞の探索を行い、ATBF1発現との関連性を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
siRNAや抗体などの試薬購入、培養に要する試薬、ガラス器具等、PCRに用いるプローブ作成料等に用いる。
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Research Products
(4 results)