2012 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮細胞由来マイクロパーティクルによるDIC病態早期診断法の研究
Project/Area Number |
23590694
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
野村 昌作 関西医科大学, 医学部, 教授 (20218358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 量基 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70434826)
|
Keywords | EDMP / TNFα / CD144 / TF / L-selectin / Mac-1 / MAPK / PKC |
Research Abstract |
EDMPのDC免疫誘導に関する検討を行った。健常人ヒト末梢血単核球よりミエロイド系CD11c+DCおよびリンパ球系pDCを単離し実験に用いた。また末梢血単球、血小板、ならびに血管内皮細胞株よりMPを抽出し、実験に供した。純化した2種類のヒトDC亜群と3種類のMPを組み合わせ、それぞれを培養し、刺激活性化物質として、ミエロイド系DCに対し、poly IC(TLR3 ligand)、LPS(TLR4 ligand)およびR848(TLR7/8 ligand)を、pDCに対しては、R848(TLR7/8 ligand)、CpG(TLR9 ligand)、および Sendai virusを使用した。各DC亜群の成熟活性化度合いをCD40 CD80, CD86, CD83, HLA-DRの発現を指標としフローサイトメーターで解析した。また細胞上清におけるサイトカインの量をELISA法にて測定した。 今回用いたEDMPは、組織因子と活性化プロテインCを発現した2種類のEDMPである。いずれのEDMPもDCの活性化マーカーの発現を増強させたが、2種類のEDMPの間で増強効果に有意な差は認められなかった。さらに、上清中に動因されてサイトカインとしてはIFN-α,IL-12,IL-6, IL-10,TNF-αの遊離が認められ、これらの変化は、それぞれのEDMPを組織因子および活性化プロテインCに対する抗体で前処理しても効果に変化は認められなかった。 以上の結果より、組織因子と活性化プロテインCを発現した2種類のEDMPは、いずれも組織因子および活性化プロテインC とは異なったEDMP上の分子に依存した形で、DCを活性化する能力を有している可能性が示唆された。今後は、DICの初期マーカーとしての意義をさらに明確にする予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織因子と活性化プロテインCを発現した2種類のEDMPが、DCを刺激活性化する能力を有していることが判明したので、DIC特に炎症が深く関わった敗血症型DICにおけるEDMPの初期マーカーとしての意義が明確にできる可能性が強くなってきたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策: 当初の計画がほぼ順調に進行しているので、このまま研究を推進していけるものと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DIC患者におけるEDMP・HMGB1・サイトカイン・可溶性接着分子の測定を行う予定である。DICの患者血漿を用いて、EDMPを測定するが、血管病変の程度の差によるEDMPの関与について検討するため、SIRS関連分子も同時に測定する予定である。特にHMGB1、サイトカイン、可溶性接着分子をELISA法で測定し、EDMP値との相関性を検討することを計画している。平成25年度の研究における最重要事項は、本研究テーマの最終目標であるDIC早期診断法の具体的な方法論にどこまで迫ることができるかという点である。その観点から、25年度はDIC治療法とバイオマーカーとの関連性を明確にする必要がある。治療法は従来から実施されているヘパリン療法と新規DIC治療薬である遺伝子組み換え型可溶性トロンボモジュリン(rTM)の影響を検討する予定である。また、23・24年度に達成できなかった基礎研究に関しては、25年度の臨床研究と並行して実施する予定である。
|