2013 Fiscal Year Annual Research Report
血球異形成をもたらす分子機構に迫る~骨髄異形成症候群の病態解明に向けて
Project/Area Number |
23590696
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
通山 薫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80227561)
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Keywords | 遺伝子ノックダウン法 / 血球異形成 / 食細胞機能 |
Research Abstract |
本研究は培養細胞実験系と分子生物学的・免疫学的手法によって、血球異形成をもたらす分子機構の一端の解明を目的とするものである。細胞形態に影響を与えることが想定される細胞骨格分子のなかで、血液細胞における意義がまだ十分に解明されていない分子として中間径フィラメントに着目してきたが、なかでも白血球系細胞に高発現している中間径フィラメント・ビメンチンの局在と役割を追求することとした。 前年度に引き続き、ヒト白血病細胞株HL-60を用いてshRNA法にてビメンチン遺伝子をノックダウンした安定変異株を作成し、レチノイン酸処理にて好中球へ、もしくはフォルボールエステル処理にてマクロファージ様に分化誘導した際の影響を検討してきた。レチノイン酸処理によってHL-60の親株は好中球様に分化していく過程でビメンチンの発現が低下していったが、shRNA法にてビメンチン遺伝子をノックダウンした安定変異株では好中球様機能分化がむしろ亢進していることが示唆された。 一方親株をフォルボールエステル処理にてマクロファージ様に分化誘導した際にはビメンチンの発現が著明に増加したが、ビメンチン遺伝子をノックダウンした安定変異株においてもマクロファージ様分化に明らかな影響は見られず、むしろ細胞運動が活発化する傾向がうかがえた。 ここまでの結果を総合すると、ビメンチン発現を抑制した結果、細胞形態には著明な変化は見いだせなかったが、貪食細胞としての機能発現はむしろ増強されることがわかり、ビメンチンは本来食細胞の機能発現を制御していることが示唆された。
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Research Products
(19 results)