2011 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病前駆段階の血清学的診断とビタミンDによる進行阻止法の開発
Project/Area Number |
23590697
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
松永 洋一 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80239053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末永 みどり 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (00389181)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
上原 吉就 福岡大学, 医学部, 講師 (70373149)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルツハイマー病診断 / アミロイドベータ蛋白 / アルツハイマー病患者血清 / 蛋白加温修飾 / アミロイドベータ蛋白特異抗体 |
Research Abstract |
A-betaを認識する新規抗体をphagemid-library systemにて作成し、2種類の抗体を得たが、これの抗体は当初目指していた膜貫通部位を特異的に認識する抗体ではく、A-beta4-9,およびA-beta17-21をそれぞれ特異的に認識する抗体であった。 今回は、これらを用いてAD患者血清中A-beta40/42の温度依存的凝集性の性状の差異を健常人由来血清中血清中A-beta40/42と比較検討した。解析方法としては、加温修飾後A-betaに対する新規抗体との親和性の相違をELISA法にて解析した。血清資料の内訳は、健常人約10人AD患者約33人(高度AD8人、中等度AD12人、軽度~MCI13人)であった。 結果としては、健常人由来血清中A-beta40/42は加温修飾前後で、抗体との親和性が大きく低下する傾向が認められたが、高度AD患者由来血清中A-beta40/42は加温修飾前後で、抗体との親和性があまり変化しない傾向が認められた。 これらの結果から、AD患者血清中A-betaは健常人血清中A-betaとは加温という物理的ストレスに対して異なった反応性を示すことが明らかとなった。その理由としてはAD血清中A-betaは健常人由来A-betani 比べ、加温度前の状態で、すでに凝集変化が惹起されており、更なる加温に対して蛋白構造を反応性二変化できる余地が少なくなっていることに由来するト考えられる。 これれの差異は、AD患者の客観的診断法として、また多量をサンプルのスクリーニングとして有用な診断法の開発に繋がる結果を示唆できたト考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目標であった、A-beta蛋白40/42膜貫通部位を認識する特異抗体の作成には到らなかったが、新規特異抗体の作成が行えた。また、AD患者血清中A-beta40/42の蛋白性状が健常人由来血清中A-beta40/42の性状ト違いがあることを示唆するデータが得られたことは、今回のプロジェクトがおおむね順調に遂行されつつあると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
AD患者の客観的診断法の開発が最終目的である。現段階では、患者血清中のA-beta蛋白の特異的構造変化を検出することを目的とし、特異抗体を用いたELISA法によるマススクリーニングに焦点を合わせている。 今後、統計学的検討の見地から、AD患者をADの程度(高度、中等度、軽度~MCI)、性別、年齢別に細分化して更に解析を進める必要があると考えている。 また、新規治療法の開発も必要であり、ビタミン類に焦点をあて、A-beta40/42の凝集性を阻止可能なものを検索してゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
A-beta40/42蛋白の凝集阻止可能なビタミン類を検索する上で、現在我々はビタミンDが有効である可能性を蛋白化学的な基礎研究で明らかにしつつある。即ち、circular dichroism Tioflavin -T法を用いた試験管内実験ではビタミンDが最有力と考えているが、さらにBiacoreを用いた解析が必要であり、次年度はこの点に重点を置いた研究を予定している。更に、Biacoreでの研究で、A-beta40/42蛋白がビタミンDと親和性を有し、結合するアミノ酸シークエンスを同定する必要性もあると考えている。
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Research Products
(2 results)